経産省・新着情報

2023年11月20日(月曜日)
11時21分~11時36分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

特になし。

質疑応答

中国水産物輸入停止措置

Q:ALPS処理水の海洋放出後、先日初めて日中首脳会談が行われましたが、日本産水産物の輸入停止措置の解決には至らず、長期化も懸念されると思いますが、今後の対応や政府の支援策についてお聞かせください。

A:ALPS処理水についてのお尋ねです。このALPS処理水の海洋放出の安全性については、中国側に対して科学的根拠に基づいて繰り返し説明を行ってきており、冷静な対応を求めてきているところです。また、中国が講じている日本産食品の輸入規制についても様々な機会を捉えて、科学的根拠に基づき、措置を即時に撤廃するよう中国側に求めてきているところです。
私自身、先週開催されましたAPEC閣僚会議のマージンでも、王文濤中国商務部長と会談しまして、その際に、この措置の即時撤廃を強く求めたところです。また、先日行われた日中首脳会談においても、岸田総理からこうした日本の立場を習近平国家主席に対して改めて説明した上で、両首脳は建設的な態度を持って、協議と対話を通じて問題を解決する方法を見いだしていくということで一致をしたと聞いています。
また、10月16日から23日にかけて、中国を含む第三国の分析機関が参画して、IAEAによる海水などのサンプリングが行われ、持ち帰って分析が行われていると聞いています。
更に、10月24日から27日にかけて、IAEAの職員及び中国を含む国際専門家が訪日をして、放出後のALPS処理水の安全性に関するレビューが行われました。このように、中国の専門家にも我々は全ての情報を提供し、透明性を持って、中国に対応してもらっているわけです。こうしたことを通じて、中国側には説明を重ね、また情報を提供し、サンプリングも提供し、対応しています。科学的根拠に基づいて、即時撤廃を引き続き求めていきたいと考えています。
また、政府として、一時買取りや保管支援の300億円の基金、それから、漁業継続支援のための500億円の基金、また、輸出転換対策などの予備費207億円を合わせた総額1,007億円の支援パッケージを活用し、状況を丁寧にお伺いしつつ対応しています。
この300億円の基金においては、水産物の学校給食等への提供であるとか、あるいはネット販売、小売での販売促進など、様々な販路拡大のための取組に対する支援を行ってきておりますし、また、ホタテの一時買取りや保管支援などについて、既に11件の採択を決定しています。多くの相談も引き続き受けていますので、事業者の事情に寄り添いながら、迅速に、的確に支援を実施していきたいと考えています。
あわせて、今回の経済対策でも、このホタテなどの輸出減が顕著な品目の一時買取り支援や保管、販路拡大、そして、地域の拠点となる加工施設の整備や加工事業者への資金繰りなどの支援を行うことを盛り込んで補正予算に計上していますので、こうした補正予算もできるだけ早期に審議の上、成立させて、支援を拡充していきたいと考えています。
もちろん、こうした支援策を講じても、なお被害が生じた場合には、適切な賠償が行われるよう、東京電力をしっかりと指導していきたいと考えています。

アークティック2

Q:11月2日、米国はロシア北極圏でのLNGプロジェクト、アークティック2を追加制裁の対象としました。西村大臣はG7のメンバーと連携し、エネルギーの安定供給を損なうことがないよう、総合的に判断し、適切に対応していくとおっしゃっています。ですが、現状、日本は軍事上の安全保障を米国に依存しており、その上、エネルギー安全保障まで米国の言うとおりに従うとなれば、エネルギー資源の少ない日本は破綻してしまいます。日本は米国に対し、エネルギー資源を制裁の道具にすることはやめるように主張すべきであり、少なくとも、日本は例外扱いするように明確に主張すべきではないでしょうか。他国の制裁よりも、日本の国益を最優先するべきです。大臣の御見解をお聞かせください。よろしくお願いします。

A:御指摘の北極LNG2プロジェクトについては、ウクライナ侵略以前に最終投資決定がなされたものであります。当面、需給の逼迫が続くと見込まれるLNG市場において、日本のエネルギー安定供給にとって重要なプロジェクトであると認識をしています。
11月2日にアメリカが発表した制裁措置は、前回の措置と異なってプロジェクト会社本体に対する制裁であることから、事業への一定程度の影響は避けられないものと考えています。関係者と共に現在その影響の詳細を精査しているところです。
その影響を精査した上で必要があれば、アメリカに対しても必要な働きかけを行っていきたいと考えています。
いずれにしても、今、お話がありましたようにG7の国々と連携しながら、我が国のエネルギー安定供給を損なうことがないよう、総合的に判断をし、適切に対応していきたいと考えています。

世論調査

Q:週末にあった各社の世論調査についてお聞きします。
朝日新聞の調査では内閣支持率が25%となり、過去最低を記録しました。加えて、政府が経済対策に盛り込んだ減税と現金給付について、評価しないが68%で、評価するの28%を大きく上回っています。
内閣支持率の低迷や経済対策の支持が広がらないことをどう受け止めていらっしゃいますか。

A:一つ一つの調査結果についてコメントすることは控えたいと思いますが、やはり経済政策について国民の多くの皆さんに理解いただき、支持いただくほうが、私にとっても有り難いし、望ましいことだと思っていますので、内容をこれからも丁寧に説明し、多くの皆さんに理解してもらい、この予算をうまく活用していただけるように取り組んでいきたいと考えています。
特に今回、電気料金、ガス料金、ガソリン料金の負担軽減のための支援策も春まで継続的に行うことを盛り込んでいますし、また、省力化投資や省エネ投資に、かなりの予算を確保しています。省力化で5,000億円、省エネで3年間で7,000億円で、企業の皆さん方にこれを使ってもらって今の人手不足や厳しい環境を乗り超えてもらおうと考えています。
更に家庭向けにも、バリアフリーなどのリフォームの際に、併せて断熱窓や高効率給湯器の更新に取り組んでもらえば、普段のエネルギーコストは安くて済みますので、そうした取組にも約4,200億円の予算を用意しています。
昨年の予算は、地域でもうほとんど使われているということもあって、多くの皆さんに理解してもらい使っていただいています。更には未来に向かっての投資、経産省として事業再構築、ものづくり補助金など、半導体や蓄電池などの最先端の産業で地方に投資が進むことで、地域で質の高い雇用が生まれ、所得が上がっていくような取組を、それぞれの地域とそれぞれの事業所の皆さんの投資意欲を引き出しながら進めていきたいと思っておりますので、理解を得られるよう取り組んでいきたいと考えています。

※実際の発言は「4,300億円」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。

紅海での貨物船拿捕

Q:報道が出ていると思うんですけど、イエメン近くの紅海で日本郵船さんが運行されている貨物船が乗っ取られた事例についてお伺いしたいんですけど、まず、大臣の受け止めと、それから、地政学的リスクにサプライチェーンが複雑な形で日本企業も含まれていくという典型的な例だと思うんですけど、そういったときに日本政府としてどういうふうなルートを通じてこういった案件に解決に向かって措置を考えられるのかというところと、それから、大臣以前からおっしゃっているサプライチェーンの強靱化という面で、こういったケースが出てこないように、あるいは出てきたときにどう対応するべきで、サプライチェーンをどのように構築すべきかというところをお伺いできますでしょうか。お願いします。

A:まず、事実関係ですが、日本郵船が運行する自動車の運搬船で、積荷はなかったと聞いています。また、日本人の乗組員もいなかったと聞いておりますが、その自動車運搬船がトルコからインドへの航行中に拿捕されたとの報告を受けています。更なる事実関係について現在、外務省、国交省など関係省庁と連携して情報収集を行っているところです。早期の対応について検討を急いでいるところです。
まず、エネルギーの関係ですけれども、今般の事案が発生した海域はイエメン沖ですが、日本が輸入している原油タンカー、LNG船などはあまり航行していないということですので、日本のエネルギー安定供給に直ちに影響は生じないと認識しておりますが、引き続き高い関心を持って情勢を注視していきたいと思っています。
特に、エネルギーの関係も含め、他の海域にも波及する可能性も頭に置きながら、中東情勢、そして国際的なエネルギー市場の動向、そして、今御指摘のあった物価高やサプライチェーンへの影響なども含む日本経済への影響について、引き続き緊張感を持って注視し、特に原油市場の安定化を働きかけていきたいと考えています。
今回、自動車運搬船であったわけですが、この海域はスエズ運河を介して、ヨーロッパと日本を結ぶ航路でもあります。自動車をはじめ、様々な物資が運搬されるルートですから、御指摘のあったサプライチェーンを含め、日本経済にとって影響を及ぼし得るということですので、その影響などをしっかりと見ていきたいと思いますが、何より航行の安全性が重要であります。関係省庁とも連携し、またG7の各国とも連携しながら、この航行の安全性を確保していきたいと思いますし、万が一、この航路が使えなくなった場合のサプライチェーンへの影響については、別の航路を含めて、しっかりと精査したいと考えています。
いずれにしても、中東地域の事態の早期鎮静化が重要でありますので、私の立場でも、関係国と必要な対話、働きかけ、意思疎通をしっかり図っていきながら、対応していきたいと考えています。

 

以上

最終更新日:2023年11月20日

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