経産省・新着情報

2023年11月20日

11月7日(火曜日)、経済産業省及び環境省は、CCU/カーボンリサイクル技術に関するワークショップをオンラインで開催し、G7関係国及び招待国並びに関係機関が参加し、政府関係者、有識者、民間事業者をはじめ9か国から合計75名が出席しました。ワークショップでは、カーボンリサイクル燃料についての先駆的プロジェクト及び国際的なCO2カウントルールの整備状況についての紹介とともに、カーボンリサイクル燃料の利用推進に向けた課題等について議論されました。また、日本の取組として、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度におけるCCU/カーボンリサイクル製品の取扱いの検討状況を紹介しました。

1.背景

CCU/カーボンリサイクル技術は、CO2を有価物・資源として捉え再利用することで、従来どおり化石燃料を利用した場合と比較して、大気中へのCO2排出を抑制することが可能である、カーボンニュートラル社会の実現に向けたキーテクノロジーです。特に、都市ガスや輸送部門における脱炭素化に向けて、合成メタン(e-methane、以下「e-methane」という。)や合成燃料(e-fuel、以下「e-fuel」という。)等のカーボンリサイクル燃料の推進が重要です。カーボンリサイクル燃料の導入に向けては、技術開発・実証、製造コスト、CO2カウントルール、認証等の課題の解決に官民で取り組むことが必要であり、また、カーボンリサイクル燃料の産業化を実現するためには、それらのCO2カウントルールにおける排出計上の扱いを含め製造や利用に対する民間企業の投資を促進する制度等の整備が重要です。

そのような中、令和5年4月に開催された、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合において、西村経産大臣及び西村環境大臣が共同議長として取りまとめた閣僚声明において、以下の内容が盛り込まれました。

  • CCU/カーボンリサイクル及びCCSは、2050年までのネット・ゼロ排出達成のための脱炭素化解決策の幅広いポートフォリオの重要な要素になり得ること、
  • e-fuelやe-methaneなどのカーボンリサイクル燃料を含むCCU/カーボンリサイクル技術は、化石由来の製品代替や二酸化炭素を活用することで、他の方法では回避できない産業由来の排出を、既存のインフラを活用しながら削減できること、
  • カーボンリサイクル燃料などのCCU/カーボンリサイクル技術に関する産学官の共同ワークショップを含めた交流を行うこと 等

これらを踏まえ、カーボンリサイクル燃料に伴うCO2排出量についてのカウント方法を整理するに当たり、プロジェクト当事者間の課題認識の共有が重要であり、国際協力の促進に向けた共通理解を得ることを目的とした経済産業省及び環境省主催のワークショップを開催しました。

2.日時

2023年11月7日(火曜日)20:00から22:00(日本時間)

3.場所

オンライン開催

4.主催

日本国 経済産業省・環境省

5.出席者

日本、カナダ、欧州連合(EU)、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカ合衆国、UAE、ベルギー、オーストラリアからの政府関係者、有識者、民間事業者

6.成果及び概要

HIF Global社(米)、三菱商事株式会社(日)、Tree Energy Solutions社(ベルギー)、Santos社(豪)からe-methaneやe-fuelに関する各社のカーボンリサイクル燃料の取組が紹介されました。また、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の田辺清人氏及び環境省の杉井脱炭素ビジネス推進室室長より、CCU/カーボンリサイクルに伴うCO2排出量についての国際的なカウントルールの整備状況及び日本の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度におけるCCU/カーボンリサイクル製品に関する検討状況についての発表がありました。

本ワークショップの主な議論は以下のとおりです。

  • e-methaneやe-fuelは、既存インフラの利用が可能であり、都市ガスや輸送部門等での利用を想定している。
  • 民間セクターによるe-methaneやe-fuelに関する取組については、民間事業者が再生可能エネルギーや水素の製造・調達方法についての幅広いオプションを検討している段階にある。
  • 民間セクターのCCU/カーボンリサイクルプロジェクトのサイト選定において、低コストの再生可能エネルギー、水素及びCO2ソースへのアクセス、既存インフラへの近接性等が重要な要素であり、CCU/カーボンリサイクル燃料に関する制度の枠組みが明確であることが有効。
  • CCU/カーボンリサイクル製品の利用に伴うCO2排出量の国際的なカウントルールについての明確なガイダンスは現状無い。今後、CCU/カーボンリサイクル製品の類型に応じて異なる算定アプローチを採用することが考えられる。
  • 国の温室効果ガスのカウントの方法におけるCCU/カーボンリサイクル製品の取扱いについて、IPCCガイドラインに基づいて国の温室効果ガスインベントリ(以下「インベントリ」という。)で整理することや、2国間の合意などを通じてインベントリ以外で整理する考え方もあり得る。

7.関連情報

CCU/カーボンリサイクル技術に関するワークショップの結果について(環境省)外部リンク

担当

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 ガス市場整備室長 福田
担当者:黒岩、高橋 
電話:03-3501-1511(内線 4751)
メール:bzl-gasuichi-pre★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。

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