経産省・新着情報

2023年11月17日(金曜日)
10時06分~10時20分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

IPEF関連会合の成果、TEZUKA2023プロジェクト

冒頭、私から2点申し上げます。
1点目、11月12日から本日まで、APEC閣僚会議、IPEF閣僚会議出席のため、アメリカ・サンフランシスコに出張してまいりました。
IPFFの閣僚会議の結果ですが、各国が閣僚間で議論した成果をそれぞれ各国首脳に報告しました。その結果、首脳会議を待たずに、クリーン経済分野と公正な経済分野については、実質妥結ということになりました。
私自身も岸田総理に報告し、御理解頂いたところです。
その中で、特にクリーン経済については、ネットゼロに向けた多様な道筋を追求し、経済成長と両立する形で、公正で持続可能な移行の実現を目指す我が国にとって大きな意味のある合意となりました。
2点目、生成AIについてです。生成AIは、これからの経済、社会の在り方、そして働き方を大きく変え、日本経済の今後の成長を左右する大変重要な技術として認識をしています。
経産省におきましては、2020年度からNEDOのプロジェクトとして、「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」を実施してまいりました。これまで約114億円を措置し、実社会のデータを用いて、人々の生活やビジネスをサポートするAIの研究開発支援を実施してまいりました。
その事業の一つとして、本年6月から生成AIを活用して、手塚治虫氏の「ブラック・ジャック」の新作を制作するプロジェクト「TEZUKA2023」が、手塚プロダクション等によって実施されてきました。11月22日に、その成果が「週刊少年チャンピオン」に掲載されます。
この新作においては、シナリオ案やキャラクターデザイン等を構想する際に、生成AIが活用されています。また、生成AIに的確に指示を与えるためのツールが開発され、一連の制作工程において、AIがクリエーターの創造性をサポートすることで、作業を効率化するといった人とAIが共存したものとなっています。
「ブラック・ジャック」については、私も若い頃、ほぼ全て読んでいるのではないかと思いますが、手塚治虫さんの死後34年がたちますし、また、「ブラック・ジャック」連載が開始されて50年です。私が若いときに読んだ「ブラック・ジャック」が、手塚治虫さんの意思を引き継いだ方々とAIによって現代によみがえったように私自身も一読して感じたところであります。
詳しくは是非、御覧いただければと思います。引き続き様々な産業分野において、このAIの適切な利用を促進することで、作業の効率化、生産性向上などを実現し、経済成長につなげていければと考えています。
私からは以上です。

質疑応答

​大阪・関西万博

Q:大阪万博について伺います。デンマークなど9か国が新たに参加を表明する一方で、メキシコとエストニアが参加を辞退しております。今後どのようにして撤退を食い止めていくのか、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

A:御指摘のように、エストニア及びメキシコの2か国から正式に2025年、大阪・関西万博への不参加の通知がありました。内容を聞きますと、いずれの国についても不参加を決定したのは両国特有の財政問題に起因する国内事情が理由と聞いております。現時点におきまして、この2か国以外に参加取下げの意向を示している国・地域はないということを、各国の参加調整を担当する外務省にも確認しているところです。
一方で、万博への新たな参加表明国・国際機関として、今般デンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、スウェーデン、チリ、カメルーン、クロアチア、ジャマイカの9か国、そして国際科学技術センターの1機関を更新しています。これらを踏まえますと、これまでに参加表明を行った国・機関は合計160か国・9国際機関となっています。参加表明をしてくれている国々がそれぞれの魅力を発信できる場とするため、現在、参加国へのマンツーマンでの個別伴走支援、そして施工環境の改善といった対策を進めているところです。関係者一丸となって準備を進めていきたいと考えています。

大阪・関西万博

Q:万博の件で、木造リングについてお伺いしたいのですが、自見大臣が先日、必要性について表明されておりました。一方で、もう少し何とかならないのかという金額など、あと保存できないのかとか、いろいろな意見が出ておりますけれども、西村大臣の御見解を伺えますでしょうか。

A:はい。御指摘の万博で建設予定の木造建設物の大屋根リングについては、コロナ禍の2020年に博覧会協会の理事会で決定した基本計画に位置付けられています。コロナ禍の中でつながりを体験する、「多様でありながら、ひとつ」という大阪・関西万博の理念を表すシンボルとして当時決定されたと承知しています。
決定する際には、協会内、そして政府内で協議検討が行われ、その上で最終的に決定されたものと承知しております。コロナ禍にあって、「多様でありながら、ひとつ」というこの万博の理念を示すシンボルとして決定されたということです。
また、木造で再利用することを想定しており、正にサステナビリティ、サーキュラーエコノミーの象徴でもあると認識しています。現に終了後は利用をしたいという方も現れてきています。
以上のことから、リングはこれまでの経緯を見ても万博の理念、そしてプロセスを見てもこの万博会場に欠かせない建築物として認識しているところです。
いずれにしても、会場建設費が上振れしたわけですので、コストダウンに向け、博覧会協会の不断の努力がなされるよう、経産省としても管理監督を徹底していきたいと考えますし、経産省としても、少しでも国民の負担の低減につながるよう、不断の取組を行っていくことは当然のことだと思います。
同時に、魅力ある万博となって、多くの方が訪れてよかったなと言っていただけるように万全の準備、取組を進めたいと考えています。

輸出管理

Q:中国で核兵器の開発を担う機関が、日米欧の先端技術を得ていた可能性があるとの報道がございます。それについての経産省の受け止め、日本の貿易管理体制の方向性についての考えを教えてください。また、輸出管理における国際連携の方向性についても併せて教えてください。

A:御指摘のような報道があることは承知をしていますが、個別の調査、今後の方針などについて具体的にお答えすることは差し控えたいと思います。
その上で、一般論として、軍事転用を未然に防いで国際社会の平和及び安全を維持する観点から、国際輸出管理レジームにおける合意などを踏まえて、関係各国とも連携して厳格に輸出管理を行っていく必要があります。
また、日本は先端的な機微技術を有しておりますので、我が国としても、この輸出管理の現状等をよく確認しながら、規制内容等を不断に見直していくことが重要であると考えています。
今月再開をしました産業構造審議会の安全保障貿易管理小委員会においても議論を行っていただくことにしております。各国とも連携しながら厳格に輸出管理を行い、不断の取組を進めていきたいと考えています。

中国等水産物輸入停止措置

Q:WTOのSPS協定の委員会で、処理水の放出を受けて中国やロシアが取った日本産水産物の輸入停止措置の即時撤回を日本が要求したという報道がありますが、事実関係の確認と受け止めをお願いします。また、今後提訴するかなど今後の対応についても聞かせてください。よろしくお願いします。

A:11月15日に開催されましたSPS委員会において、日本側からALPS処理水の海洋放出の安全性に加えて、中国、香港、マカオ及びロシアによる日本産水産物の輸入停止措置が科学的根拠に基づかず、日本として全く容認できないことを説明し、これらの国、地域に対して改めて本件措置の即時撤廃を強く求めたところです。
関係国からは自らの立場についての説明があったというふうに報告を受けておりますが、先方の発言に対しては、日本としてしかるべく反論し、改めて措置の即時撤廃を求めました。
我が国は、あらゆる機会を通じてこの措置の即時撤廃を求めてきています。今週開催されたAPEC閣僚会議のマージンでも、私自身、中国の王商務部長及び香港のヤウ商務経済発展局長官と個別会談を行いまして、それぞれに対して措置の即時撤廃を強く求めたところです。引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
今後の対応については予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、我が国としては引き続き、様々な場面を活用しながら本件措置の即時撤廃を求めていく考えです。そのためにWTO、その他関連協定の枠組みの下で何が最も効果的かという観点から、これらの国々の対応を見ながら、様々な選択肢を不断に検討していきたいと考えています。

高レベル放射性廃棄物処分

Q:高レベル放射性廃棄物の最終処分事業についてお伺いいたします。北海道寿都町と神恵内村で行われている文献調査は今日で3年となりました。この3年の調査を振り返って大臣の所見と、この2町村に続く文献調査地がまだ現れていないことへの大臣の受け止めをお聞かせください。よろしくお願いします。

A:まず、北海道の寿都町と神恵内村におかれては、文献調査を受け入れていただいていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。全国初の調査であり、また、今後別の地域で調査が行われる際の参考事例にもなり得るということから、丁寧に評価を進めていくことが重要だと考えています。
現在、今月の2日に取りまとめられた評価の考え方に基づいて、NUMOが資料の分析と報告書の作成を進めているところです。引き続き地域の皆様の声にしっかりと向き合い、説明を重ねながら、こうした文献調査のプロセスを丁寧に進めていきたいと考えています。
また、文献調査の実施地域拡大に向けては、本年4月に改定した基本方針に基づいて全国の自治体、これまで43の市町村を個別に訪問するなど情報提供などの取組を強化しているところです。
その情報提供に際しては、まず文献調査とは、地質データなどを分析して情報提供し、地域で議論を深めていただく、言わば、対話活動の一環であるということをお伝えしておりますし、また、市町村長などから反対の意見が示された状況では、次の概要調査には進まないということもお伝えしています。さらに、念のためですけれども、調査期間中に放射性廃棄物を持ち込むようなことは一切ないということもお伝えをしているところです。
一つでも多くの自治体に関心を持っていただけるよう、政府一丸となって、引き続き政府の責任で取り組んでいきたいと考えています。

以上

最終更新日:2023年11月17日

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