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伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和5年11月17日(金)09:30~09:47 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 おはようございます。まず、今週末の出張について御説明申し上げます。11月18日土曜日から19日日曜日にかけて、宮城県石巻市及び女川町を訪問いたします。明日18日土曜日には、みちのく潮風トレイルの現場を歩き、トレイルサポーターズのお話をお伺いいたします。現場で活躍されている方の生の声を直接お伺いし、さらなる利用促進や、関係者との連携の強化など、今後の施策に活かしていきたいと考えております。翌19日日曜日には、女川原子力発電所及びオフサイトセンターを視察し、女川町の須田町長や石巻市の渡邉副市長と意見交換を行います。現場の状況をしっかり把握して、原子力防災体制の充実・強化に活かしてまいりたいと思います。
 もう1つございます。デコ活アクション大喜利大会の開催についてでございます。新しい国民運動「デコ活」の浸透・定着を図り、国民の皆様にデコ活アクションを実践していただくべく、このたび、デコ活アクション大喜利大会を開催することとし、本日から3か月間の公募を開始いたします。具体的には、企業、自治体、団体、そして個人の方から、「デ」「コ」「カ」「ツ」の文字を使った独自のアクション標語や、その訴求方法を広く募集いたします。その上で、企業・団体部門、自治体・地域部門、個人・NGO部門、さらには、アイディア部門を加えた4つの部門で、環境大臣賞を設けてございます。このうち、個人部門で受賞された方には、国立公園や環境関連イベントへの招待券を進呈いたしますので、奮っての御応募をお待ちしております。今回、環境大臣賞は、応募いただいた作品から、国民の皆様による一般投票、これを経て決定いたしますので、こちらもぜひ参加いただくように、広く呼びかけてまいります。
 以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、時事通信の鴨川です。UNFCCCの報告書についてお伺いします。先日、気候変動枠組条約の事務局から、2030年の温室効果ガス排出削減目標を分析した報告書が公表されました。目標が完全達成された場合でも、2019年比で5.3%の削減にとどまり、1.5℃目標の実現に必要な43%の削減と大きな隔たりがあることが明らかとなりました。この報告書の受け止めと、各国の削減目標の引上げについて、COP28でどのような交渉を行っていくのか教えてください。
(大臣)14日火曜日に国連気候変動枠組条約事務局が公表した報告書では、今、御案内があったように、1.5℃目標達成のためには、各国のNDCのさらなる引上げが必要とされてございます。1.5℃目標に向けて、世界各国がより一層取組を強化していかなければならないというふうに、まず認識しております。
我が国は、1.5℃目標と整合的なNDC、つまり、2030年度までに温室効果ガスの46%削減、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けるという目標を掲げております。2021年度には、2013年度に比べ約20%の削減を達成し、着実に実績を積み重ねていると存じます。御質問があったCOP28においては、こうした我が国の実情を発信するとともに、世界各国に対して1.5℃目標と整合する排出削減目標の策定、更新に向けた働きかけを行っていく所存でございます。

(記者)テレビ朝日の中尾です。おはようございます。クマの関連ですけれども、先日、クマの専門家を全国に送るよと、それで、その費用の負担をするよというふうに環境省から話をされましたけれども、現状その取組が、例えばどのくらいの件数、応募等があって、どのくらい実行されているかなど、現状の数字について教えていただけますでしょうか。
(大臣)ちょっと今すぐ手元に資料がございませんので、後で事務方からご報告させます。
(記者)今、数字がなくても、現状の応募の事業の進み方について、どのように見ていらっしゃるかなどがあれば教えてください。
(大臣)事務方には、専門家の派遣をはじめとして、それから委員会等で、あるいは知事会等から要望があった件について、なるだけ対応を急ぐようにと、指示はしております。
 
(記者)朝日新聞の市野です。気候変動の問題に関連してなんですけれども、先日、二日前ですかね、アメリカと中国が首脳会談の中で、気候変動対策でも共同声明がありました。その中では、今度のCOPの議題の1つにもなっているような、再生可能エネルギーを3倍という話もサポートするということが出たのですけれども、この大排出国であるアメリカと中国が、ここで気候変動に前向きな声明を出したことに対して、日本の受け止めというのと、あるいはCOP28対して、これがどのように影響すると考えるか、この2点についてお伺いできればと思います。
(大臣)経済的にも1位、2位であり、逆を言えば、気候変動あるいはCO2の排出に対しても大変大きい両国が、今回の首脳会談等々を通じて、環境問題に対して協力的な枠組みなり、その姿勢を見せたことは大変喜ばしいことだと思いますし、また、その上で、私も事情が許せばCOPに行く予定でございますので、米国側とも、そしてまた中国側とも、そのことも含めて、さらにどのような協力、あるいはどのような新しい取組を、ともにできていくか、そしてまた、今、前段でお答えしたように、1.5℃目標の達成のために、それぞれの国が新たなNDCを設定していただくような、そういう呼びかけなり話合いもしてまいりたいと、そういうふうに思います。
 
(記者)エネルギーと環境、エネルギージャーナルの清水です。今の関連で伺うのですけれども、やっぱり、外交の得意な伊藤大臣にぜひお話しいただきたいのは、国際会議、さっきの質問もありました米中首脳会議とかね、それから、環太平洋、APECとか、IPEFとかありますよね。日本は、その中で主要なメンバーであるわけで、日本はどうすべきか。もつれあった気候変動対策の1.5℃の野心的向上をどうするべきかという、やっぱり、何かA案、B案、C案ぐらい出していくような気概というか、まあCOP28を前にして調整というか、そういうのが必要なんじゃないかと思うのですが。環境省の方針を伺っているわけではなくて、むしろ伊藤大臣としての、今までの経験豊かな外交のあれからいって、どんなお考えをお持ちですか。
(大臣)環境問題、あるいは、こういう気候変動対策というのは、それが個別にあるわけではなくて、それぞれの国には経済事情とか、政治事情もあります。そういうものに理解を示しながら、この1.5℃目標に、それぞれの国が達することができるように交渉するということが大事だと思いますし、それぞれの国の事情、例えば大変経済的に厳しい、あるいは、まだ技術力が遅れている、そういう国々もございます。ですから、そういうところにおいては、環境省の予算だけでできるかどうか分かりませんけども、財政援助であるとか、あるいは技術協力と、こういうことも考えてまいりたいと思いますし、それから、環境問題と経済安全保障問題、あるいはもっと広い意味のいろいろな課題も関連しておりますので、そういうことも話題の中に折り込みながら、それぞれの国が実現可能なNDCを策定して、そして、その結果として、この1.5℃目標が全世界で達成できるような、そういう総合的な話合いというものをバイ会談、あるいは、それぞれの会議において、できれば先導的にといいますか、積極的に繰り広げられると考えております。
(記者)端的に伺います。恐らくCOP28はグローバル・ストックテイクの検証が中心になると思います。そこで、またそこから、野心の向上、各国どうするかという、実施目標の設定の見直しというか、それがあると思うんです。ずばっと言って、日本は、先ほど43%とか話があったけど、やっぱり1.5℃に行くためには、もうその野心の向上をボトムアップしないとね。それは、各国にしろ、今おっしゃった途上国への呼びかけにしろ、中国にしろ、ついてこないというか、意欲を示さないというジレンマ。まあ、言ってみれば、三すくみ状態というか、そんな状況だと思うんですけど、それを打開する野心の向上、日本としてどうですか。
(大臣)おっしゃられるとおりでありまして、実際、日本とイギリスだけが目標値を上回ることを達成しようとしておりまして、さらに50%の高みを。ですから、おっしゃられたとおり、やっぱり日本自身が範を示すということが重要だと思いますし、それから、今、各国の状況と申し上げましたけど、日本にも日本の状況があるわけですね。日本の状況について、やっぱり合理的、科学的な説明をするということも必要だと思います。そのことが、各国が自分の国もこういう事情があるけれども、どういうふうに工夫したら、どういうふうに努力したら、この1.5℃目標に整合的なNDCを立てられるかという説得力にもなってくるだろうと思います。
 やっぱり交渉というのは、こちら側だけが強く交渉をして、あるいは主張して、おたくの国は全然駄目じゃないかというようなやり方では、なかなかうまくいかないと思うんです。やっぱり、相手の国の状況もよく、なるだけ理解しながら、こういうふうにしたら達成できるんじゃないですかと、この部分をもう少し努力なさると、まあ地球は1つですから、御国も気候温暖化、あるいは気候危機とも言われておりますけれども、状況の被害が減るんじゃないですかと、そういう、やっぱりある意味では相手方の気持ちにも、状況にも立った形で交渉するということが必要だと思います。それは、特にバイ会談でそういう部分はあると思いますし、バイ会談じゃない場合は、やっぱり共通項を見つけてくということが大事だと思います。バイ会談になる場合は、それぞれの国の事情が違いますから、違う事情をそれぞれあげつらっていくと、もう結局、話がまとまりませんので、そういった中において、どうやって共通項を見つけていくか。あるいは、その共通目標はとにかく、気候危機をなくす、CO2を削減するということでありますから、その道筋は、確かにそれぞれの国で違うと思いますので、違う中でも多分、共通項があるのだろうと思います。その共通項を話合いや会議の中で見つけていく、そして、地球全体として、それぞれの国が協力して、この目標を達成していくということが、地球全体の利益になると思いますし、そういうことを強く主張してまいりたいと思います。
 
(記者)共同通信の矢野です。よろしくお願いします。今、大臣がおっしゃったことで1点だけ。日本にも日本の状況、事情があるおっしゃった。これ具体的にはどういう事情、状況があるとお考えでしょうか。
(大臣)私も、大臣の立場じゃなくて、何度もCOPに参加しているわけでございますけど、言われるのは石炭の部分だろうと思いますね。日本のジオポリティックスな状況、まあ私から説明することはないと思うんですけど、欧州におけるような広域のエネルギーグリッドというのは、日本の地理的、政治的状況では無理なわけですから、日本の中において安定的な電源を確保すると。そのためには、現時点においては、石炭火力を最小化していきますけれども、持っていくということが必要ですけども。これは時として、COP等の会議において、皆さんから違う意見がもたらされますので、これはもう、日本は究極的にはなくしていくのだけれども、なるだけCO2を出さない石炭火力を最小的に使うと。そして、それをCCUSとか、アンモニア混焼とか、アンモニア混焼そのものもいろいろな課題がありますけれども、やっていくというような説明は必要じゃないかなと思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=REZMPeqW6a4&list=PL9Gx55DGS7x7KxcngqArvF_NxEuXney24&index=2

(以上)

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