外務省・新着情報

冒頭発言

国連総会総括

【上川外務大臣】おはようございます。外務大臣就任から2週間がたちました。先週、国連総会ハイレベル・ウィークのためニューヨークを訪問し、5日間で、集中的に16名の首脳・外相及び四つの国際機関の長と会談を行い、12人のマルチ会合に出席した上、五つの首脳関連行事に同席をいたしました。
 就任5日後の外遊でありましたが、各国のカウンターパートとの間で、外交の基本である個人的関係を構築できたとの手応えがありました。また、多くの要人から、女性の外務大臣への歓迎と期待の声をいただき、改めて身の引き締まる思いでございます。
 外交は、継続が重要であります。昨日は、訪日中のスルタン・アル・ジャーベル・アラブ首長国連邦(UAE)産業・先端技術大臣兼日本担当特使を飯倉公館にお迎えし、包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)第1回閣僚級会合を開催いたしました。
 先週の国連総会ハイレベル・ウィーク出席の成果も踏まえながら、これからも緊張感を持って、日本の国益を守りつつ、国際平和の実現に向けて、日本ならではの外交をしっかりと展開してまいりたいと考えております。
 私(上川大臣)からは以上です。

国連安全保障理事会改革

【朝日新聞 松山記者】上川大臣は、岸田総理と共に、今回の国連で、安保理改革について訴えられました。日本としては、G4などを常任理事国とする案や、拒否権の制限などを求められていますけれども、今後、安保理改革なかなか難しいという声もある中で、どのように他国からの理解を得て、具体的に進めていくか、プロセスを教えてください。

【上川外務大臣】先般の一般討論演説におきまして、岸田総理から、安保理改革に向けて、2024年に予定される未来サミットや、また、2025年の国連創設80周年、これを見据えて、具体的に行動に移っていくべきということを強調したところであります。
 私(上川大臣)自身も、先般の国連総会の際のG4、これは日本、ドイツ、インド、ブラジル、この外相会合におきまして、アフリカや米国を含む関係国と連携をしながら、早期に具体的成果を目指すことで一致をいたしました。日米豪印外相会合におきましても、安保理改革の推進を確認したところであります。さらに、これらを含む様々な会合等を通じまして、各国と、安保理改革を含む国連全体の機能強化などにつきましても議論をいたしました。
 各国の一般討論演説におきましても、米国のバイデン大統領から、安保理改革への支持を表明するなど、多くの国が、安保理改革など国連強化に大変前向きなメッセージを述べたと承知しているところであります。
 各国の利害も複雑に絡み合う安保理改革は、決して簡単ではございません。しかし、G4に加えて、米国やアフリカを含む改革を求める多くの国と、しっかりと連携を深め、粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

各国の女性外相との会談

【NHK 五十嵐記者】先週の国連総会の一連の外遊について伺います。今回国連の場で、大臣がお会いした海外の外相の半数は女性だったということですが、こうした海外の女性登用の現状を御覧になって、どのように感じたか、まず所感を伺います。

【上川外務大臣】私(上川大臣)、大臣に着任して1週間で国連総会に参加したところでありますが、各国のカウンターパートと直接顔を合わせ、そしてまた、率直な意見交換ができたことは、大変幸運であったと思っております。
 御指摘のとおりでありまして、今回お会いした外相の約半数は女性だったということは、大変印象的でございました。訪問全体を通じて、多くの方々から、女性外務大臣への歓迎や期待の声をかけていただき、身の引き締まる思いをしたところであります。
 外交は、継続が重要であるということでありますので、今回の訪問の成果をしっかり踏まえながら、長い歴史の時間軸を意識しつつ、大局を見据えた外交をしっかりと展開してまいりたいと思っております

日中韓3か国協議

【日本経済新聞 根本記者】話題変わります。本日、ソウルにて、日中韓3か国の高級事務レベル協議が開かれております。日中両国の間には、処理水の問題など、懸案が山積する中で、日中韓の3か国の枠組みで協議する意義について教えてください。
 また、韓国側が目指しています年内の首脳会談、あるいは外相会談、この実現の可能性について、大臣ご見解をお願いします。

【上川外務大臣】まず、一点目のご質問でございますが、本日26日でありますが、ソウルにおきまして、日中韓の高級事務レベル協議が、開催をされているところであります。
 地域の平和と繁栄に大きな責任を共有する日中韓の3か国であります。日中韓の協力の在り方、また地域の課題、諸課題等につきまして、議論をするということは、大変有意義であると考えております。
 また、ALPS処理水の放出につきましては、中国との関係では、これまで様々なレベル・機会に、我が方の立場を明確に伝達してきております。
 政府としては、今後とも、ALPS処理水の安全性について、高い透明性をもって国際社会に丁寧に説明していく考えであり、また中国側に対しては、科学的根拠に基づく対応を引き続き強く求めてまいります。
 二点目でございますが、地域の平和と繁栄に大きな責任を共有する日中韓の3首脳が一堂に会し、日中韓の協力の方向性や、また具体的な協力の在り方、また地域の諸課題等について、議論することは有意義な場であると考えております。
 今後の日中韓協力の具体的なプロセス、また日程につきましては、御指摘の外相会議を含めまして、まだ確定しておりませんが、日中韓プロセスを早期に再開させる必要については、3か国は一致しているところであります。引き続き、3か国でしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

ナゴルノ・カラバフ情勢

【共同通信 桂田記者】アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノ・カラバフの情勢についてお伺いします。同地域に対して、アゼルバイジャンが開始した軍事行動では、多数の死傷者が発生して、ナゴルノ・カラバフ側が、武装解除などの条件を受け入れ、1日で停戦合意しました。アゼルバイジャンとアルメニアで平和条約交渉が行われる中、アゼルバイジャン側の対応は、力による一方的な現状変更だという見方もありますけれども、日本政府として、どう捉えているのか、今回の軍事行動への受け止めをお聞かせください。また、ナゴルノ・カラバフの帰属に対する日本政府の基本的な立場も伺います。

【上川外務大臣】まず、第一点目のご質問でございますが、今回の事案発生を受けまして、9月の20日に外務大臣談話を発出し、今般のナゴルノ・カラバフにおける事態の悪化を深刻に懸念するとともに、敵対行為の即時停止とアゼルバイジャンによる軍事活動の停止を強く求めたところでございます。
 その後、アゼルバイジャンとアルメニア系武装組織との間で停戦が合意されたと承知しております。我が国といたしましては、引き続き、現地住民の状況等を含めまして、今後の情勢を注視していく考えでございます。
 ナゴルノ・カラバフをめぐる諸課題につきましては、我が国は、全ての当事者に対しまして、対話を通じて、この地域をめぐる問題を平和的に解決することを強く求めてきております。
 二点目のご質問でありますが、日本は、アゼルバイジャンの領土の一体性と、また主権の原則及び国際的に承認された国境の不可侵性に基づき、平和的に解決することの重要性、これについて、強調してきたところであります。
 いずれにせよ、ナゴルノ・カラバフをめぐる諸問題については、関係当事者間の対話により、平和的に解決されるべきと考えております。

国連安全保障理事会改革

【パンオリエントニュース アズハリ記者】(以下は英語にて発言)
 パンオリエントニュースのアズハリです。
 まず、ご就任をお祝い申し上げるとともに、質問の機会をいただきありがとうございます。私の質問は、朝日新聞記者の質問のフォローアップになります。
 それは、長年にわたって訴えられてきた国連と国連安全保障理事会の改革についてです。そして、大臣はロシアのウクライナ侵攻によって安保理の信頼性が揺らいでいるとおっしゃいました。アラブ諸国もまた、イスラエルによるパレスチナの占領とゴラン高原の併合に対する行動の欠如によって、国連安全保障理事会の信頼と信用が失われたと言っています。そこで質問ですが、日本の改革と呼ばれるものは、この信頼を回復するために具体的に何をされるでしょうか。ありがとうございます。

【上川外務大臣】Thank you very much. ロシアによるウクライナ侵略によって傷ついた国連の信頼を回復すべく、安保理改革を含む国連の機能強化、これが重要になっております。
 繰り返しになるわけでありますが、先般の一般討論演説におきまして、岸田総理から、2024年の未来サミット、また、2025年の国連創設80周年を見据えて、具体的行動に移っていくべきことを強調をいたしました。
 私(上川大臣)自身も、先般の国連総会の際のG4外相会合におきまして、アフリカや米国を含む関係国と連携をしながら、早期に具体的成果を目指すことで一致をいたしました。日米豪印外相会合でも、安保理改革の推進を確認したところでございます。
 各国の利害も複雑に絡み合う安保理改革であります。決して簡単ではございませんが、我が国としては、G4に加えて、米国やアフリカを含む改革を求める多くの国としっかりと連携を深め、また粘り強く取り組んでまいる所存でございます。

女性登用(ジェンダーギャップ指数)

【NHK 五十嵐記者】先ほどの海外の女性登用の関連で伺います。日本国内に目を転じると、海外から遅れているという現状があります。世界経済フォーラムが、今年6月に発表したジェンダーギャップ指数で、日本は、146か国中125位でした。とりわけ「政治参加」の分野、女性の議員数や閣僚の割合は最低レベルでした。こうした現状について、大臣の問題意識をお聞かせください。

【上川外務大臣】本年の6月に公表されました「GGI:ジェンダーギャップ指数」でありますが、経済分野や政治分野のスコアが低調であり、我が国の現状が諸外国と比べて遅れをとっていることを示すものと、謙虚に受け止める必要があると考えております。
 政府としては、6月に決定した「女性版骨太の方針2023」に基づきまして、政府全体で取組を強力に進めていく考えでございます。
 自民党内におきましても、岸田総理の強いリーダーシップの下で、多様な意見をしっかりと政策に反映させるために、野心的な数値目標を掲げて、女性の政治参画に取り組んでいるところであります。私(上川大臣)も、党改革実行本部の座長として、この計画作りに参加をさせていただきました。
 私(上川大臣)自身としては、女性閣僚の一人として、しっかりと国民の皆様の期待に応えられる外交を展開してまいりたいと考えております。
 また、閣僚レベルの女性登用の流れを続けることができるよう、私(上川大臣)自身としても、取り組んでまいりたいと考えております。

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