農林水産省・新着情報

宮下農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年11月17日(金曜日)9時11分~9時25分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)北海道への出張について
  • コメの現物市場「みらい米市場」の取引状況について
  • 産業立地円滑化のための土地利用転換の迅速化について
  • 日本産水産物の輸入規制に係る対応について
  • 大間産クロマグロの漁獲量未報告事案に係る対応について

冒頭発言

大臣

  最初に1点、ご報告がございます。私は、明日18日(土曜日)と明後日19日(日曜日)に、北海道へ出張し、上川、留萌、空知管内の農業、水産業について視察を行い、水田農業やホタテの種苗の生産の状況等について、関係者の方々と意見交換を行う予定にしています。詳細はこの後、プレスリリースをさせていただきます。本日、私からは以上です。

質疑応答

記者

  コメの現物市場の「みらい米市場」が開設されてから昨日で1か月となりました。この間の取引状況ですとか、市場の果たしている役割についてどのように見ていらっしゃるか、評価をお願いします。

大臣

  10月16日に開設された「みらい米市場」ですが、生産者団体の方からは、みらい米市場の開設によって、成約数が増えたとの評価もあると承知していますけれども、まだ開設1か月ということもあり、取引の状況を評価するのは時期尚早と考えています。引き続き、「みらい米市場」でコストを含めた生産者の努力や品質を反映した価格形成が行われ、同市場が活用されることを期待しています。

記者

  土地利用規制の緩和についてお伺いします。今般の政府の経済対策に産業立地のための土地利用転換の迅速化が盛り込まれています。地域未来投資促進法のスキームを使って、半導体製造工場とか、物流施設等も建設するということが念頭にあるということなのですけれども、具体的にどういった施設まで対象となるのか現在の検討状況と、どの程度の手続きにかかる時間が短縮されるのか教えてください。

大臣

  対象施設についての制限はないということです。この効果ですけれども、11月2日に閣議決定された総合経済対策における「産業立地円滑化のための土地利用転換の迅速化」ですけれども、具体的なスキームとしては、通常は、農振法(「農業振興地域の整備に関する法律」)、都市計画法、それぞれの許可の可否について判断をしますが、特に順番として、まず農振法の判断があり、その後、都市計画法の許可と可否の判断という順番になるわけですけれども、地域未来投資促進法では地方公共団体の農林水産部局と都市部局が、あらかじめ施設建設の計画内容を確認して、農振除外等の可否や、地区計画の策定を総合的に判断した上で、一体的に承認を行うということで、農振除外等があってから、地区計画の策定に入るというのを同時並行的に進めることができることになります。これによって、効果としては一概には言えませんけれども、内閣府公表の資料では、イメージとして現状の1年程度から4か月程度への迅速化となっています。今回の措置は、事務手続きの合理化を目指すものであり、農振除外等の規制を緩和するものでありません。したがって、食料・農業・農村基本法に掲げる農地の確保に支障は生じないと考えていますけれども、引き続き、農地の確保の観点から適切に対応してまいります。

記者

  関連で、政府は6月に決めた「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」の中で、農地の確保ということを打ち出されて転用規制の強化というような方向性も出されていますけれども、一方で、手続きということで、時間を短縮するということなのですけれども、こういった実際の効果というか、転用を加速するという効果はあるかと思うのですけれども、今回のこの手続きの緩和が割と展開方向がある中であっさりと決められたような、ちょっとちぐはぐな感じも受けるのですけれども、この整合性についてどう考えるか、お考えを聞かせてください。

大臣

  展開方向でも述べていますように、農地は農業生産の基盤ですので、食料安全保障上の観点から、適切に確保する必要があります。地域未来投資促進法等で開発を行う場合にも、優良農地の確保を前提とする仕組みが設けられています。具体的には、地方自治体が計画を定める際に、まず農用地区域外での開発を優先すること、面積規模が最小限であること、周辺の土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼす恐れがないことなどを確認することとなっています。このような仕組みによって、地域の事情に応じた産業の導入と農業上の土地利用との調整を適切に行っています。

記者

  昨日15日から17日までスイスのジュネーブのWTOでSPS委員会というものが開かれています。中国やロシアが、今、日本産の水産物に対して導入している措置は検疫の方に関わるものだと思いますが、この委員会で日本側からどのような提起があったのか、また、措置を導入している国や導入していない国から日本の提起に対してどのような反応があったのかお聞かせください。

大臣

  中国、ロシア、香港、マカオによる科学的根拠に基づかない規制に対しては、日本政府として、これまでも二国間での会議の場や国際的な議論の場において、規制の即時撤廃に向けた働きかけを行ってきました。一昨日15日、ALPS処理水の海洋放出以降、初めてのWTO・SPS委員会が開催されました。ここで我が国としては、中国等による科学的根拠に基づかない規制については、日本として全く容認できないということを説明し、規制の即時撤廃を強く求めました。WTO・SPS委員会は非公開の場でありますので、議論の詳細な内容の説明は差し控えますけれども、規制措置を導入した国・地域からは、自らの立場の説明もあったものの、主要国からは、我が国の立場を支持する旨の発言もあったと聞いています。今後も、政府一丸となって、二国間での会議の場や国際的な議論の場を活用して、科学的根拠に基づかない規制の即時撤廃にむけて働きかけてまいります。

記者

  中国の禁輸について伺います。今日、日中首脳会談が行われて、中国に対し、禁輸措置撤廃を訴えることが注目されていますが、日中首脳会談でどれほど状況が改善するか、どのように期待されているか、お願いします。また、農水省は輸出先の転換に取り組むとしていますが、具体的にどのくらい転換が進んでいるのか、どのような国に転換ができているのか詳細を教えていただけますか。

大臣

  日中首脳会談についての報道は承知しています。このあと、米国サンフランシスコにおいて、日中首脳会談が約1年ぶりに開催されると聞いています。外交上のやりとりのため詳細について発言することは差し控えますけれども、ALPS処理水の海洋放出に伴う規制の撤廃を始め、我が国の関心事項や懸念について議論がなされることを期待しています。詳細は外務省の方にお問い合わせいただければと思います。また、輸出先の転換についてですけれども、これまでホタテ等の輸出先の転換、多角化を進めるために、ホタテ等の一時買取・保管支援、海外を含めた新規の販路開拓の支援、またビジネスマッチングや飲食店フェアなどを実施しており、先月、私自身も、マレーシアにおいて、日本産水産物のプロモーションを行ったところです。こうした中、9月の輸出実績では関係者の皆様の御努力により、アメリカ向けの冷凍殻むきホタテの輸出額が前年同月比12倍の20億円となりました。また、香港向けのホタテ調整品、これは貝柱が主ですが、ボイルホタテ等も入っています。このホタテ調整品の輸出額が前年同月比2倍の14億円となっています。今後、海外バイヤーと国内事業者とのマッチングを更に強化するために、JETROによる海外現地視察・商談のためのミッション派遣や外国人バイヤーの招へいを実施していきたいと考えています。

記者

  マグロの件でお伺いします。青森県の大間産クロマグロの漁獲未報告事件を受けて、水産庁は今週、与党の会合で再発防止策を示されました。漁業者らに1匹ごとの個体の重量などを記録・保存することを義務付けて、違反した場合には罰則も検討するとの内容でしたが、今後の取組への期待をいかがお考えですか。

大臣

  国際約束に基づく数量管理を実施している太平洋クロマグロについて、青森県大間における漁獲量未報告事案等を踏まえ、再発防止や管理の強化を検討しているところです。具体的には、資源管理の実効性を高めるとともに、違反が疑われる太平洋クロマグロの流通を防止する観点から、単価の高い30キロ以上の太平洋クロマグロにつきまして、陸揚げの状況等を検査する国の検査体制の強化、TAC報告の項目への個体数の追加や、個体ごとの情報の記録・保存・伝達の義務付け等を視野に入れているところです。今後、必要な法制化も含め、関係者のご意見も伺いながら、さらに検討を進めてまいります。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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