文科省・新着情報

1.日時

令和5年7月26日(水曜日)17時00分から19時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階) ※WEB会議併用

3.議題

  1. 社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について(中間的まとめ(案))
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)古賀委員,関委員,野津委員,牧野委員
(専門委員)青山委員,伊藤委員,井上委員,大村委員,倉持委員,塩田委員,原委員,山本委員

文部科学省

(事務局)藤江総合教育政策局長,森友社会教育振興総括官,神山生涯学習推進課長,黄地地域学習推進課長 他

5.議事録

【牧野部会長】
 それでは,定刻になりましたので,ただいまから第4回社会教育人材部会を開催いたします。本日は,腹立たしいぐらい暑いですね。暑い中,また,お忙しいところお集まりくださいまして,どうもありがとうございます。
 また,昔,5時から男とか,それから,愛知県にはゴジカラ村というのがあったりするのですけれども,今日も5時から委員会ということで,暑い中,少し涼みながらというか,少しでも涼しい思いをしながら,熱い議論をお願いしたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 本会議は,対面とオンラインを併用して開催させていただいております。
 なお,本日もYouTubeのライブ配信を行い,報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者から,会議の全体について録画を行いたい旨申出があり,許可しておりますので,その旨御承知おきください。
 それでは,次に事務局から,オンライン会議運営に当たっての留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】
 事務局の中村でございます。オンライン,対面の併用会議を円滑に行う観点から,4点ほどお願いさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言いただきますようお願いいたします。2点目,御発言の際には,お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。3点目,御発言時以外は,マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。4点目,御発言に当たっては,挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただければと思います。本日会場にお越しの委員の皆様におかれましては,御発言の際には挙手又はネームプレートを立てていただくようお願いいたします。お手数をお掛けいたしますが,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第のとおり,資料1から資料2と参考資料11から参考資料4まででございます。
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。資料の方,大丈夫でしょうか。今日は主に資料1を使って議論をお願いしたいと思います。資料2が次期の審議予定,そして,参考資料がついておりますけれども,過不足はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは早速,議事に入りたいと思います。それでは,議題の(1)ですけれども,「社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について(中間まとめ(案))」について,事務局で御準備いただいた資料1について御説明いただいた後に,続けて各委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。
 それでは,黄地さん,よろしくお願いいたします。

【黄地地域学習推進課長】
 黄地でございます。よろしくお願いいたします。資料1に基づきまして,御説明させていただきます。
 まず,1枚おめくりいただきまして,目次を御覧いただければと思います。これまで3回の部会で御議論いただいた内容を中間まとめとして,このたび整理させていただいたものでございます。大きく分けて3本立てになってございまして,まずは生涯学習分科会の議論との関係を整理した上で,その上で2ポツということで,人材部会における議論のこれまでの内容を整理したものでございます。さらに,3ポツとしていたしまして,今後の検討事項として考えられる項目を列挙しているという全体の構成になってございます。
 まず,一つ目の生涯学習分科会での議論との関係につきましては,2ページ以降,まとめさせていただいてございます。(1)で触れてございますのが,社会教育士創設までの主な議論といたしまして,1段落目にございますように,平成25年の生涯学習分科会の中でのワーキングの議論の整理の中で,社会教育主事について必置廃止の要望が全国市長会などから提出されたわけではございますが,一方で,やはりその重要性に鑑みて,必置を原則とすることが望ましいとされた上で,2段落目でございますが,一方で,主事講習で学んだ知識や主事として得た知識や経験というのは様々な場面で役に立つであろうということで,更に検討を加えた上で,最後の段落に書いてございますように,社会教育士の称号の付与の制度の創設に至ったといった経緯をまとめさせていただいてございます。
 続きまして,(2)でございますが,こういった流れを受けて,さらにどうあるべきかということで,昨年の8月に生涯学習分科会において議論の整理を頂いたところでございまして,そうした中で大きな方向性として,3行目に書いてございますように,社会教育人材の量的な拡大と質的な向上を進める必要があるということで,「具体的には」ということで,その後でございますけれども,社会教育士の配置促進,さらには彼らの活躍の機会の拡大,そのための継続的な学習の機会の確保などの方向性が示されたところでございます。
 こうした流れを受けて,(3)でございます。今後の生涯学習・社会教育の振興方策ということで,本年の3月に生涯学習分科会で方向性を取りまとめたところでございます。大きな柱としては,2段落目にございますように,丸1から丸5までの項目を整理させていただいているところでございますが,ここに掲げている項目,さらに工程表ということでお示しさせていただいているところですが,そのうち特に社会教育人材に関する取組については,専門的な議論や検討が必要ということでございましたので,(4)で整理させていただいているとおり,社会教育人材部会が設置されましたという経緯でございます。
 その上で,今日を含めて4回の御議論を頂いているところでございますが,特に速やかな実施に向けて必要なものは,できるだけ早めに取り組んでいく必要があるということで,現時点で考えられるものについては,中間まとめとして整理してはどうかといったような経緯を述べているところでございます。
 続きまして,4ページでございます。人材部会におけるこれまでの議論ということで,まず,(1)で社会教育人材を取り巻く状況の認識について触れてございますが,やはり重要なのが,まずここに括弧書きで書いてございますように,社会教育人材が果たす役割への期待ということでございます。1行目から書いてございますように,社会教育は,地域のコミュニティーの構成員である住民が共に学ぶものであって,地域づくりの営みという性格を強く持っているということで,こうした基本的な性格を踏まえた様々な取組をそれ以降で書かせていただいてございます。
 とりわけ1段落目の後ろから二,三行目にもございますように,社会教育を基盤とした住民自治の強化という観点でいうと,福祉・農村振興・防災・まちづくりなど,これまで首長部局中心にやっていた分野においても,やはり地域コミュニティーに着目した施策が展開されているということでございますので,社会教育との連携が重要であるという旨を触れてございます。
 さらに,2行目以降でございますが,その担い手としても,これまでの社会教育団体やNPOにとどまらず,民間企業,あるいは首長部局,様々な方々が主体となっているということですとか,場所の広がりについても触れてございます。また,オンライン化の進展に伴い,地理的な地域にとどまらず,テーマによっては特定の地域だけではなくて,日本全国あるいは国内外の取組も期待されるといった地域の広がりですとか,あとは,ニーズの広がりとして,昨今,リカレントやリスキリングの学習ニーズも高まっていると。こういった点についても触れてございます。
 総じて言えば,最終段落にも書いてございますように,社会教育の裾野の拡大ということが非常に期待されているところで,人材が果たし得る役割は大きいということでございます。
 続きまして,その裾野の拡大を踏まえた人材確保の必要性について触れてございます。人材そのものの有用性については一定の認識があるという一方で,一般的な認知度は必ずしも高いとは言えないということで,次の5ページでございますけれども,やはり社会教育人材の質的な向上・量的な拡大を図っていくことが極めて大事であるという点について触れてございます。
 そうした中でどう持っていくべきかということで,施策の基本的な方向性として幾つか整理させていただいております。まずは,アでございます。様々な場で活躍する社会教育人材の確保ということで,2段落目に書いてございますように,社会教育の場としては,2段落目の3行目から書いてございますように,首長部局やNPOなどの多様な主体が担う,福祉・農村振興・防災・まちづくりなど,様々な領域において広がりが見られるので,人材を確保することが必要であるということともに,そうした中で,さらに二,三行下でございますけれども,社会教育主事講習を受講することで,社会教育行政を含めた社会教育の専門性も身に付けて,更に学びや実践を促進していくという方向で持っていくことが効果的ではないかということでございます。
 また,そうする中で,最終段落の「したがって」というところでございますが,そのためには,今ある社会教育主事講習について,幅広い多様な人材にとって受講しやすいものとするということですとか,その後書いてございますように,関連する人材や活動の質的向上を図る取組とあいまって,認知度の向上も含めて,しっかり社会教育の基盤となる重要施策を進めていくべきだということでございます。
 そのために欠かせないのが,次のイでございます。社会教育主事と社会教育士の役割の明確化と配置促進ということで,1段落目に整理してございますのが,社会教育主事の役割でございます。総じて言えば,地域の社会教育の行政の企画・計画ですとか,様々な関係者との連絡調整も含めて,最後の次の6ページの2行目に書いてございますように,言わば,多様な分野と社会教育をつなぐ,地域全体の学びのオーガナイザーとしての役割が求められているということで整理してございます。
 また,社会教育士については,2段落目の下から3行目ぐらいから書いてございますけれども,従来の社会教育の分野に加えて,学校教育,首長部局,NPO,民間企業などにおいて,より現場に近い存在として,専門性と社会教育の知見を生かしながら,各施策の企画・立案,コーディネートを直接的に行う,言わば各分野の学びのオーガナイザーとしての活躍が期待されるということで整理してございます。
 その上で,3段落目でございますが,こうした中で,社会教育士をはじめとして担い手が多様化して,数も増えていくことを想定すれば,そういった社会教育全体を俯瞰して調整を担う社会教育主事の役割はますます重要性を増すであろうということでございますので,それとともに,最適化を図る体制を各教育委員会で整備することが望まれるという点についても触れてございます。
 その次の段落では,まさにその最適化の方策として,社会教育人材ネットワークをしっかり構築して活発化することも大事だということについても触れているところでございます。
 その上で,ウでございますが,そういった中でそれぞれの人材に求められる能力・知見,あるいはその養成の在り方はどうあるべきかということで整理してございます。まず,1)でございます。こちらは社会教育士と社会教育主事の養成・確保の在り方ということで,1段落目で書いてございますけれども,特に1段落目の5行目辺りから,現行制度の下では,地域ごとの多様なニーズに対応しながら,実施機関の創意工夫に基づく特色ある取組が進められることで,社会教育主事となる者,社会教育士として活躍する者を輩出してきているということでございますので,さらに今後,社会教育の裾野の広がりということを見据えるということで言えば,その後の記述でございますけれども,こうした様々な需要に対応していくためには,多様な選択肢が提供されて,受講者がニーズに応じて選択し得る環境というのは,今後とも維持・拡充していくことが重要であろうということでございます。
 一方で,その上で基本的なことはしっかり押さえないといけないということで,7ページの3段落目辺りから内容について触れさせていただいてございます。まず,講習の内容に関しては,学びと実践の活動を効果的に進めるために必要なコーディネート能力,ファシリテーション,プレゼンテーション能力,こちらについては,社会教育主事としても,また,多様な分野で活躍する社会教育士としても共通する汎用的な能力であろうということでございますので,しっかりこの辺りは講習の中で身に付けていただくとともに,「その前提として」と書いてございますけれども,社会教育に関する基本的な理解があってこそのコーディネート,ファシリテーション,プレゼンテーション能力であろうということはしっかり押さえる必要があろうということでございます。
 また,社会教育士であれば社会教育行政の知見は必要ないのかといったら,必ずしもそうではないだろうということで,行政に関する知識も一定程度あることは有益であるということで記述してございます。
 また,その上で,次の段落でございますが,社会教育主事への任用が具体的に予定されている者,こういった方々にとっては,社会教育計画の策定,社会教育関係団体の育成など,行政的な専門的な知見を学ぶ必要性が相対的に高いだろうということでございますので,この辺りについては,その次の段落でも書かせていただいてございますが,これまでも現在の講習科目を見直したときの検討の中でも議論があったところでございますが,実務経験や研修などによって適切に補完されることが望ましいと考えられていたところでございますので,その上で,次の段落の3行目辺りでございますが,社会教育主事講習,養成課程でしっかり基本的な知識・能力を身に付け,その上でこれらを活用しながら,社会教育士として現場の実践に携わり,多様な実務経験・研修を積んだ上で主事に任用されるということは,様々な社会教育士の連携・協力を進める上で大事であるという点について触れてございます。
 こうしたことを踏まえますと,次の段落でございますが,主事講習とか養成課程というのは,言わば社会教育人材としてのエントリー資格的な位置づけであろうと。したがいまして,前述の基本的な理解などを踏まえた内容にして講習を提供して,それを受けて,様々な実務経験を積んでいくと。その中で社会教育主事が必要に応じて研修によって能力を高めたりするということで,主事として任用されていくことが一つの理想的なキャリアパスである旨を整理しているところでございます。
 それとともに,次の8ページでございます。養成段階ではなくて,養成後の取組の必要性もやはり大事であろうということで,特に中ほどに三つ黒ポチを書かせていただいてございますが,職務上,地域活動を実践することで経験を積む機会をまずはしっかり確保すると。それとともに,次の黒ポチにございますように,様々な社会教育人材のつながりの中で,お互い,あるいは自主的に学べるような機会を得られるようにすること。また,三つ目のポチとして,多様な研修の機会をしっかり提供していくこと,こういったことが大事であるという旨を整理しているところでございます。
 以上の基本的な方向性を踏まえた具体的な改善方策を,(3)以降,触れているところでございます。
 まず,アでございますけれども,やはり量的な拡大というのは非常に大事でございますので,それに向けた社会教育主事講習の定員の拡大をしっかり図っていこうということでございます。
 続きまして,9ページでございます。続きまして,受講者の多様なニーズに応え得るためにも,受講者の選択肢の拡大を図ることが必要ではないかということで,まず一つが,受講形態の多様化として,前回も御議論がございましたけれども,例えば,中ほどに触れてございますようなオンライン化ですとか,夜間や休日の開講,一部科目をオンデマンド化,あるいはこうしたオンラインとリアルのベストミックス,こういったものを図ることが必要ではないかということでございますし,また,次の9ページの最終段落にも触れさせていただいてございますが,国においても,社会教育主事講習の委嘱に際して,こうした様々な取組を行っているという情報に適切にアクセスできるような発信も必要であるということも触れてございます。
 続いて,10ページでございます。柔軟な履修方法による選択肢の拡大ということで,先ほど申し上げましたように,オンラインなどと同時に,やはり受講者のニーズに応えるということであれば,例えば,この段落の下から3行目に書いてございますように,例えば,分割履修のような,それぞれの受講者のニーズに応じた履修の在り方ということも必要ではないかということを触れているところでございます。このためにも,次にありますように,講習科目の提供方法の弾力化ということで,2段落にも書いてございますけれども,一部科目指定の社会教育主事講習を開設しているところは社会教育経営論と生涯学習支援論の2科目を実施しなさいということを前提に認めているところでございますが,先ほど来御説明している,受講者のニーズに応え得ると。あるいは各大学が様々な特色ある展開を図るという観点からすれば,3段落目の中ほど2行目ぐらいから書いているように,大学の判断によっては,2科目ではなくて1科目から4科目までの開設をある程度柔軟に認めるということを記載しています。また,国の委託費を活用しないで実施する社会教育主事講習があるわけでございますが,この場合には委嘱の期間を最大で5年間まで延ばして委嘱できるようにするといったようなこともやってはどうかということと,さらには,その次の段落でございますが,現行制度上,一部科目指定講習については受講料の徴収を認めているところでございますが,今後の講習の開設に当たっては,国の委託費を活用しないで実施する主事講習については,大学の判断で受講料の徴収ができるというふうにしてはどうかと。ただ,その場合に,できるだけ高額にならないような配慮が求められるということで書かせていただいてございます。
 続きまして,11ページでございます。先ほど申し上げたような内容については,社会教育主事養成課程の取組においても参考にしていただく中で,できるだけ受講者ニーズに沿った取組が行われるようにしていただくといったようなことについて整理しているところでございます。
 続いて,エでございますが,各機関の取組の共有ということで,先ほど来御説明しているアからウまでの取組の結果,各大学で様々な取組が行われるようになるところでございますが,そういった中で,どこの大学がどういった受講形態でどういった内容の講習を行っているのかは,ある程度分かりやすく見えるような形にする必要があるであろうということですとか,あとは,そういった取組をお互い共有できるような環境整備をすべきでないかということで,必要な施策を整理しているところでございます。
 また,続きまして,受講資格の明確化ということで,オでございますけれども,11ページから12ページにかけて書いてございますけれども,制度の上では,12ページの1段落目にも書いてございますとおり,PTAや子ども会なども含めて,様々な方々が受講できるようにはなっているのですけれども,ただ,実際の運用として,どういった実績があれば受講できるのかということが必ずしも明確でないところが指摘されているわけでございます。そういった内容が2段落目に書いておるのですけれども,したがって,もう少しその辺りを明確化すべきでないか。あるいは3段落目にも書いているように,海外大学の卒業者が受講できるかどうかということが,必ずしも現行制度上明らかになってございませんので,この辺りも明確化する必要があるであろうということで整理してございます。
 続きまして,カでございます。民間資格等取得者の一部科目代替ということで,前回の御説明の中でも,例えば,注の10にも書いてございますけれども,生涯学習コーディネーターのための講習がございますが,研修がございますが,場合によっては,社会教育主事講習と一定程度関わりが深い部分,内容が同種である場合は,例えば,部分的に一部科目を代替して認めるということも検討すべきでないかということを書かせていただいてございます。
 以上が2ポツの,これまでの議論の整理とともに,国としてもしっかり速やかに進めないといけない内容でございます。
 続きまして,14ページ以降は,今後の検討事項として現時点で考えられるものを整理したものでございます。
 一つ目が,社会教育人材の活躍促進ということで,2ポツで御説明したのが,社会教育人材の養成の在り方を中心に整理したところでございますが,その結果,多数の社会教育人材が輩出されるようになっても,活躍する場がないと絵に描いた餅になってしまいますので,この辺りの促進方策を検討してはどうかというのが(1)でございます。
 続いて,(2)がそのネットワーク化でございます。活躍の場があったとしても,やはりお互いがつながり合う機会というのが極めて大事ではないかということで,これまでも事務局の現時点の案を御説明させていただいたところでございますが,更に具体的な手法を検討してはどうかということでございます。
 (3)が,旧講習受講者への積極的な社会教育士への称号付与ということで,第1回目の議論の中で,旧課程の主事講習や養成課程の修了者の方の中でも,既に主事として活躍されている方々がいらっしゃるということで,こうした方々についても社会教育士の称号を付与する方向で検討すべきでないかということもございましたので,更なる検討を進めるということで整理してございます。
 (4)が修了証書の在り方ということでございます。これまでのヒアリングやアンケートの中で,社会教育士であることを証明できるようなものがあった方がより活動しやすいといった意見もございましたので,その発行体制も含めて,更に検討を進めてはどうかということでございます。
 (5)が社会教育主事の配置促進ということで,社会教育主事とともに,社会教育主事補というポストもございますが,この二つについて配置できていない理由を事務局の方でしっかり調査して,詳細をヒアリングする中で実態把握をして,更なる配置促進に向けて検討していきたいというふうに考えてございます。
 最後でございます。継続的な学習機会の確保。これについても,先ほど御紹介しているネットワークの活用ですとか,国や地方が行う研修のオンデマンド配信の推進も含めて,更に検討を進めてまいりたいと考えているところでございますので,記載してございます。
 簡単ではございますが,以上でございます。

【牧野部会長】
 黄地さん,どうもありがとうございました。
 今日,第4回の部会になりますけれども,今日皆さんに御議論いただきたいのは,この中間まとめ案についてです。「中間的まとめ」となっておりますが,表題としましては,「社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について」ということになります。
 この時期にこの中間的な取りまとめを行いますのは,来年度の施策に向けての予算編成ですとか,それから,重点項目等の整理が始まっておりますので,この部会で皆さんに議論していただくことを来年度の施策に反映させていくには,今ここで少しきっちりとまとめておいた方がよいだろうということで,今日このような検討の場を設けたということになります。よろしくお願いいたします。
 今日の内容ですけれども,先ほどの資料1,「中間的まとめ案」の1ページ,目次を見ていただきますと,三つの部分から構成されております。一つが,第11期生涯学習分科会での議論等との関係ということで,今回この部会が設けられることになった経緯が書かれております。特に過去,社会教育主事の在り方について検討をし,そして,社会教育主事を残していく。そして,更に活用できるような形でということで,社会教育士という称号の創設があったこと,それらを受けて,改めて今回,社会教育人材部会という部会ができたということが書かれてあります。
 それから,第2部ですけれども,これがこれまで3回,皆さんに御議論いただいたことのまとめになります。基本的に現在,社会教育人材を取り巻く状況,簡単に言いますと,例えば,少子高齢,人口減少ということの中で,人口構造が大きく変わっていくということ,さらには,それを受けた人生100年時代の在り方を考えなければいけなくなったということ,さらには,いわゆる地方創生との関わりで,各基礎自治体が自らどのような形で持続可能性を高めていくのか,そんなことが問われてくるような社会の在り方になってしまっている。その中で,様々な,いわゆる首長部局と言っていますけれども,一般行政部局の方の施策が,ある意味では,コミュニティーをターゲットにするものにどんどん切り替わってきていて,その過程で住民自治を重視するような方向性が出てきている。それが極めて社会教育の在り方や,さらには学びといったことをどう組織するのかといったことと深い関わりが出てきているということがまとめられてあるかと思います。
 それを受けまして,(2)ですけれども,社会教育人材に関する施策の基本的な方向性ということで,これまで皆さんに議論していただいたことがまとめられております。基本的な点を申し上げますと,社会教育主事とそれから社会教育士という,称号とそれから資格といいますか,そのような形で議論をしてきているわけですけれども,役割をどのような形で考えていったらよいのか。特に社会教育主事に関しましては,先ほど申し上げたような,新しいある種の事態の中で,社会教育,いわゆる教育委員会という特別な行政委員会の中の社会教育領域を重点的に担いながらも,一般行政との連携や協働ですとか,つまりある意味では,地域社会又は基礎自治体の様々な部門との連携,協働をコーディネートができる人材としてきっちりと位置づけられていく必要があるのではないか。
 さらに,社会教育士の方々は,むしろそれぞれの活躍の領域で,住民の学びを基本にした形での活動をオーガナイズしていきながら,住民自治を鍛えていく役割を担っていただく。ただ,この社会教育士の方々も,社会教育行政についての知識をきっちり持っていただくことによって,むしろ教育委員会との連携であったり,さらには社会教育行政を通して,ほかの行政領域との連携が取れたりするような力は付けておいていただきたい。そういうことになったのではないかということになっています。
 さらにそれを受けまして,(3)ですけれども,社会教育人材の養成に係る具体的な改善方策ということで,例えば,社会教育士が創設された後,非常に多くの方が受講されて,称号を取られていること等も鑑みながら,定員の拡大ですとか,又は選択肢の拡大等,ある種の柔軟化といったことを基本にしながら,社会教育人材の育成の在り方について今後議論をしていく必要がある,そういう御指摘があったのではないかというふうにも思います。
 そして,第3部といいますか,三つ目のところでは,今後の検討課題について整理がなされているということになります。
 それで,今日皆さんに御議論いただきたいのは,1は経緯ですので,特に今まで3回議論してきましたことのまとめの在り方がこれでよいかということで,2の社会教育人材部会におけるこれまでの議論といったことの,ここの内容についてです。この点について,改めて皆さんの方から御議論,御検討,また,確認を頂きたいと思います。その後で,3にあります今後の検討事項についても御意見をいただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,まず初めにですが,2の,これまでの皆さんの御議論のまとめについて,社会教育人材部会におけるこれまでの議論の中身について,御質問ですとか又は御意見,又は提案等ありましたら,お出しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 野津さん,お願いいたします。

【野津委員】
 島根県の野津です。7ページの一番下の10行ぐらいですかね。「こうしたことを踏まえれば,社会教育主事講習」の段のところで,最後が「理想的なキャリアパスだと考えられる」という文章ですけれど,これ,社会教育主事の話をするのであれば,これって,役人か教員ですよね,社会教育主事。事務局職員ということであれば。これ,社会教育士としての育成というのではこういう形というのはあると思うのですけれど,もともと役人とか教員を社会教育主事講習を受けさせるときに,一定程度のそういった素養があって,うちでいうと,教員は本人の希望があって,校長の審査があって,教育事務所長だったか,市町村教育長の審査があって,県の審査があって,初めて受講させるという段階を踏んでいますし,いわゆる行政職員も,それぞれの市町村の教育長が公務として受けさせて,資格を取らせて任用するということなので,順番として,資格を取ってから研修して能力――エントリー資格であって,そこから研修により能力を高めてから任用することが理想的というと少しもやもやした感じがあります。現場の感覚とは少し手順が違うような気がします。
 ある程度できそうな人間,やりたい人間に資格を取らせて,専門的な知見を得させて,資格を取れば,次の年か,その次の異動のときに任用していくというのが恐らく実態ではないかと思うので,社会教育主事としての任用という点で論じるのであれば,少し違うのじゃないかな。社会教育士としての育成という面ではいいかもしれませんけれども,そこが少しもやもやします。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。教育長としての御意見だと思いますけれども,社会教育主事の任用というのは,教員籍であったり,又は行政職員の方々を,ある程度の審査をしてといいますか,可能性を考えて社会教育主事講習を受けに行かせていると。そうなると,社会教育士という段階を踏んで,経験を積みながら,更に引き上げる形で社会教育主事になるという議論が,少しもやもやするとおっしゃいましたけれども,実態とはそぐわないのではないかという御発言だと思います。
 この辺り,事務局の方々はいかがでしょうか。では,神山さん,お願いできますか。

【神山生涯学習推進課長】
 生涯学習推進課の神山でございます。今の御指摘は,恐らく今の任用形態を踏まえたときに,こういった形よりは,野津さんがおっしゃったような形の方がそぐうだろうということなのだと思っております。
 ここで書かせていただいた内容は,仮にもう少し社会教育主事講習のキャパシティーというかが広がってきますと,例えば,学校籍の者も,いざ社会教育主事になりそうな方だけが行くという段階より前に,例えば,その学校の中で地域連携の担当をすると。それ向けの講習,研修などもあるかもしれませんが,キャパシティーが十分あればという前提ですけれども,講習などを受けて,社会教育に関連するものに携わって,実績を積み,その中で適性を見ながら社会教育主事になっていくというようなキャリアパスも,一つの理想的なキャリアパスという書き方をさせていただいておりましたけれども,そういったことも考えられるのじゃなかろうかなというふうにも思っております。
 ただ,今,野津委員のおっしゃっておられたのも非常に現実の状況,あるいは島根県での取組を考えたときの御意見だというふうに思っておりますので,少し書き方については,御意見を踏まえてまた検討させていただければなというふうに思ってございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,オンラインで原さん,手が挙がっておりましたので,お願いいたします。

【原委員】
 東北学院大学の原でございます。よろしくお願いいたします。
 資料の5ページ6ページ7ページ辺りのことなのですけれども,今回,社会教育主事と,それから社会教育士の役割について,5ページのところから6ページにかけて,まず社会教育主事の役割,それから社会教育士の役割ということで,一応,区別して示していただいた点はよかったなと思います。
 それで,気になったのは,その後で社会教育主事講習ないしは社会教育主事の養成課程というのは,社会教育主事を養成するというスタンスでいくのか,あるいは,社会教育主事と社会教育士を養成するというスタンスでいくのか。その辺りのことがどちらなのかというのが余り議論できていないのではないかと思い感じました。
 というのは,5ページ,6ページのところでいきますと,社会教育主事の役割が先に来て,社会教育士の役割が来ているわけですけれども,7ページ目の方に行きますと,先に社会教育士というのは汎用的な能力というようなことで,その後に社会教育主事――中ほどになりますけれども,社会教育主事としては,こういった社会教育計画の策定云々という話になっておりまして,この辺りを,社会教育主事講習というのは結局どちらを念頭に置くべきなのか。あるいは,それぞれに必要な能力をどのようにしゅん別していくのか。しかし,実際に講習の中で,これは社会教育士の部分で,こちらは社会教育主事の部分だというように明確に分けているわけではないので,今後講習をどう組み立てていくのかということの中で,少し議論してもよかったかなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。この講習の在り方,講習というか,課程も含めてですけれども,在り方について,社会教育主事,それから社会教育士の講習,それから養成課程ということになっているのだけれども,ということなのですね。どちらを重点的に育成することになるのか。
 最初の書きぶりは,社会教育主事がまずあって,そして,社会教育士という称号が付くことになっているので,その称号に伴う役割というか,力量の形成ということが書かれてあるわけですけれども,7ページになりますと,どちらかというと社会教育士を先に置いて,汎用能力を高めた上で引き上げられていくところで社会教育主事という専門職性が出てくるというような,こういう今議論の展開になっているのだけれどもという御指摘です。その意味で,社会教育主事,それから社会教育士の養成課程,それから講習といったことが,何をある意味ではターゲットにしているのかといったことがもう少し明確にならないか,というお話だと思いますけれども,いかがでしょうか。
 多分,こちらで議論しているときに,そこが明確になってこないのは,社会教育主事の養成であり,育成ということになるのですが,それに社会教育士という称号が付いているといったことになっていますので,その辺りで役割をきっちり分けるような議論は余りしてこなかったのだと思いますが,この辺りで関連して御意見ありますでしょうか。
 関さん,お願いできますでしょうか。

【関委員】
 関でございます。前回も研修そのものを二階建てで考えるという議論があったかと思うのですけれども,私も自分の経験からするとそれに共感します。もともとは行政の中の専門職員としての社会教育主事という形で我々の時代は動いてきたと思うのですが,今は社会の様々な分野の中で動いていける社会教育士を育てていく複線で動いていると感じます。行政の中で,地域全体の学びのオーガナイザーとして活躍する社会教育主事が一方にいて,それとは別にいろいろな分野にあって,いろいろな活動をしている社会教育士が一方にはいる。そして,行政のオーガナイザーである社会教育主事が,様々な領域で活動している社会教育士をつないで,地域全体の学びを高めていく。そのような方向のイメージを私は持っております。
 ですから,基盤になるものはみんなが持って,その中で更に行政職員として必要なものをその上に乗っけていくような考え方の方がふさわしいのではないかなというイメージを持ちます。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。そうしますと,社会教育士的な汎用的な能力をまず育成をするといったことをベースにして,社会教育主事として行政の専門職としてなるための,更によりある意味で高次のというか,上の段階の能力の育成といったことを考えたらどうかということでしょうか。

【関委員】
 はいそう考えます。行政職員として担うべき領域は,予算や法律さらには全体を俯瞰する調整能力などは,社会教育士が持つレベルを超えたものを持っていなければ動けないと思いますので,そこをもっと高めていくような学びの場があってもいいのではないかなと考えます。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。そうしますと,社会教育士としての育成をした上で,社会教育主事としての更に研修等が重なるという形で,講習の在り方も,養成課程も含めて二つに分けるという形のお話でしょうか。

【関委員】
 今,四つの科目ですよね。それが,その四つの中で三つと一つになるのか,あるいは三つと二つみたいな形になるのか,そういうふうな分類になってもいいのではないかなと考えます。例えば,社会教育行政論のようなものが,社会教育主事には必要ではないかと思います。一年ぐらいの発令経験の後に二階部分として研修してもよいのではと思っています。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 これに関しまして,では,大村さんいかがですか。

【大村委員】
 大村です。第1回のときも少しお話ししたことなのですが,社会教育主事と社会教育士というのは,やはりレベルの違う概念だと思うのですよね。社会教育主事は資格を取って任用される。任用されないと社会教育主事とは呼ばないわけですよね。社会教育士は,資格というか,称号ですけれども,を取って,しかし,任用というのは今ないわけですよね。どういう任用があるかという議論もこれからされるのでしょうけれども,だから,職種としての実態がない社会教育士と,教育行政職として実態を持っている社会教育主事は,やはり同列では議論できない。ですから,オーガナイザーが二つあるような,同じような位置で議論してしまうと,混乱してくるのじゃないかという気がするのですよね。
 だから,例えば,それを整理するとしたら,社会教育主事の任用をするためには,社会教育士の資格を取っているとか,つまり,社会教育士をベースの資格にして,その上で行政職として社会教育主事を任命するという形にするか,それとも,社会教育士の特別な職種をつくっていくのかという,どちらかかと思うのですが,整理としては,社会教育士を汎用の資格として位置づけた方がいいような気がします。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 座長がしゃべり過ぎてはいけませんけれども,社会教育士という称号を,私,少し前に苦し紛れにと言ったことがあるかもしれませんが,称号になっていますのは,資格化していくと,法改正を伴うという問題もありまして,それで,いわゆる社会教育主事という任用資格を守っていくといったことを基本に,ただ,やはりこれ,任用資格ですので,任用されなければ社会教育主事になれないのですが,養成を受けた方々がきっちりと養成を受けていますよといったことが分かるようにしようということで,称号が授与されることになったということなのです。
 それを受けて,多くの方が称号を取られているという実態の中で,広がりが出てきていると。それから,この議論をしたときからしばらくたって社会情勢が変わってくる中で,社会教育と,それからいわゆる基礎自治体の中における,特にコミュニティーにおけるほかの行政領域との連携ですとか協働といったことが非常に重要になってきている。そんなことの中で,今改めて社会教育人材の在り方を検討しようということになって,この部会があるのですけれども,その意味で,例えば,大村さんがおっしゃったように,改めて社会教育士というものを資格化するという,基礎資格化していくということを考えた方がよいのかどうか。そんなことも今後やはり検討しておかなければいけなくなったのかもしれないと思います。
 議論が混乱するということなのですが,ある意味で,主事に対して称号が付いていて,専門的にきちんと主事の講習を受けていますよといったことが分かるという状態になっていて,だからこそ実は社会教育士という称号を使って社会的に活躍ができるようになっていますよということに関しましては,多分,今,多くの主事ではなくて,社会教育士の称号を取られた方々は,そういうような活用のされ方をしているのだろうと思うのです。
 ただ,それと,いわゆる社会教育主事という専門職との関わりが,少し今混乱を,理解が混乱をしているといったことにもなるのかもしれませんし,それが養成の在り方であったり,ここで議論していることとも関わってきますので,その辺りで社会教育士というものを,社会教育主事とはある意味で別のものというか,又は基礎資格的な形での資格として考えて,資格化の議論をするかどうか,そういうことも含めて少し議論ができればと思います。どうもありがとうございます。
 では,井上さん,いかがでしょうか。

【井上委員】
 井上でございます。よろしくお願いいたします。
 今,研修等いろいろ関さんから話があったのですけれども,やはり今回中間まとめを拝見して,社会教育主事講習がエントリー資格という位置づけということがよく分かりました。
 その方向で進むのであれば,履修項目について再整理が必要になってくると思います。その上で発令をされた者,発令見込みの者を対象として,専門的な内容をきちんと履修していくということが現実的に必要になっていくのではないかと思います。
 ただ,そのような専門知識をOJTや実務経験の中で身に付けるということですが,社会教育主事の発令率が50%前後ということで,市町村においては課内に発令者が1人いるかいないか,いたとしても1人しかいないという状況で,先輩から教えてもらうということはなかなかできない状況になっていると思います。やはりそういうときに,きちんと研修機会を担保する仕組み,これはきちんと併せて構築していかなければいけないと思います。
 例えば,国社研とかで,そういう発令見込み,若しくは発令された人が専門的な知識や技術を学びことができるよう,研修カリキュラムを開発したり,研修,講習を実施したりすることも必要かと思います。また,そのような専門的な研修内容については,なかなかオンラインだけで学ぶことは,難しいというものが大半を占めてくるのではないかと思います。そのような場合に,例えば都道府県の生涯学習センター等で,例えば社研の講習をサテライト実施するなどして,きめ細かなフォロー体制をつくっていかないと,なかなか質の担保が難しいのかなと感じました。
 それと,少し書き方の面なのですが,6ページに社会教育士の役割の言及があるのですが,2段落目の下の方に,それぞれの専門性と社会教育の知見を生かしながら各種施策の企画・立案とかあるのですが,これについては社会教育主事の役割ではないかなというふうに少し読めるのですが,いかがでしょうか。
 やはり社会教育主事が計画や施策をつくるという役割であり,社会教育士に施策の企画・立案まで期待するのは少し難しいかなと思います。こちらの役割については社会教育主事の方に記述することがふさわしいのかなと感じました。
 以上でございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。先ほどの社会教育主事講習,それから養成課程が,エントリー資格の養成の入り口になるのだという議論に関しましては,社会教育士としてきっちりと育成をするということをベースに考えて,発令予定の人々であったり,社会教育主事になる人々に関しましては,より上位のといいますか,きっちりと質の担保ができるような形での養成の在り方もきっちり考えておかなければいけないのではないかという御指摘だったと思います。
 それから,6ページのここの社会教育士の役割ですけれども,企画・立案といったことは社会教育主事の役割ではないかという御指摘なのですが,この辺りで少し事務局の方から御説明ですとか,ありますでしょうか。

【黄地地域学習推進課長】
 まず,6ページのところで施策と書いていますのは,確かに御指摘のように,施策というのは行政がやる取組をどうしても想起してしまう一方で,ここで想定しているのは,首長部局という行政がありますが,それ以外にもNPOとか民間企業とか,様々な主体を想定してございますので,例えば,「施策」ではなくて「取組」などに変えた方がより適切かなと思いますので,表現ぶりは工夫してまいりたいと思います。
 また,先ほどの点につきましても申し上げてよろしいですか。先ほど社会教育士と社会教育主事はそもそも違うのじゃないかということで,例えば,任用に当たっての基礎資格といったようなお話がございましたが,資格というかは別としても,現行制度上も,社会教育主事講習を受けた方々が任用されるということが制度の前提になってございますので,そういった意味で,社会教育主事講習を受けた方は,称号としての社会教育士を名のれるということになってございますので,実質的にも,社会教育士である方が社会教育主事になるというのが現行制度上の前提でございます。
 その上で社会教育士については様々な分野での活躍が期待されるということで,こちらの中間まとめにも一定程度書かせてはいただいておりますが,そうなりますと,今ある社会教育主事講習という位置づけからすると,社会教育士としてであっても,その後の社会教育主事にとっても必要な内容が講習で身に付けられるという点が大事ではないかということで,7ページに書かせていただいているところでございます。
 その上で,主事として,行政職として特に大事であるという点については,しっかり2階建てといったようなお話もございましたので,少し表現ぶりが若干,そこら辺が明確でない部分がありましたら,しっかりこの辺りもう一回整理してまいりたいと思いますが,7ページの2段落目で書いてございますように,コーディネート,ファシリテーション,プレゼンテーション能力,これについては,社会教育士として活躍される場合であっても,その後に社会教育主事として任用される場合であっても,共通して最低限必要な能力であると。さらには,前回の御議論でも御指摘ありましたように,そもそも社会教育とは何ぞやといったような社会教育の哲学のようなものも共通して押さえていく必要があるであろうと。さらには,社会教育行政の基本的な部分もしっかり押さえる必要があろうと。その辺りがやはり社会教育人材として必須ではないかということで,この辺りを2段落目に書かせていただいてはいるのです。
 その辺りがもう少し明確になるように工夫してまいりたいと思いますし,その上でさらに,主事として任用される方については,先ほど関さんからお話がありましたように,しっかりとしたそういった知見を習得する機会がなければならないということで,現在の講習科目の精選の際の検討でも御議論があったように承知してございますが,そこにつきましては,講習で基本的な行政的な知識を身に付けているというのを前提に,講習とともに,その後の実務経験や研修でしっかり適切に補完していくことが大事ではないかという趣旨を,こちらの4段落目で書かせてはいただいておるのですが,もう少しこの辺り,明確になるように工夫してまいりたいなと考えています。

【牧野部会長】
 ありがとうございました。
 またある意味で議論がどうしてもこのところで戻っていってしまうというか,どうしても錯そうする感じがするのですけれども,社会教育主事講習,社会教育主事の養成課程がベースで,現状は,社会教育主事講習と,それから社会教育主事の養成課程をきっちりと受けられれば,社会教育主事になる任用資格がきっちりと担保されるということになっている。ただ,その講習を受けられたり,課程を終えられても,任用されるとは限らないので,称号で社会教育士ということを授与して,きちんとこの養成課程を終えていますよ,又は講習を受けましたよということが見える形にしたということが現行の制度なのです。
 そして,それが見える形で使われていくという形で,実は主事にはならないけれども,社会の様々な分野で社会教育的な役割,社会教育のコーディネーター的な役割を果たされる方が増えてきているということがある。
 その意味では,現在の講習の在り方をベースに考えれば,主事になる基本的な知見はきっちりと教えられているといったことが前提であるということです。その上で,主事にならないので,社会教育士という称号を使って活躍をしていただくというような条件をつくってきたということになります。
 ただ,そこがなかなか分かりにくいのか,混乱をするのかということがあって,先ほど私が少しまとめましたけれども,分けた方がよいのではないか。資格として違う資格なのではないかという議論になってきて,少しまた振出しに戻っている感じがするのですが,現行制度上は,先ほど黄地さんがおっしゃったような形での立て付けになっています。そして,さらにそこから社会教育主事として任用される場合には,当然,経験を積まれていたりですとか,更に様々な実践経験があったり,更に講習を受けられたりする中で,行政の専門職としてきっちりと教育委員会の中に配置をされていくという,そういうようなルートが構想されているというか,予定をされているのではないかということなのですが,この辺りも少し踏まえて議論をしていただければと思います。いかがでしょうか。
 今,名札が上がっておりますのが,塩田さん,まずお願いできますでしょうか。

【塩田委員】
 塩田でございます。今回,当社の講習受講希望者は落選しましたけれども,我々が民間企業として,社会教育主事講習を受けて,社会教育士の資格を持つ者を会社の中でもたくさん輩出していこうという検討に至った理由としましては,やはり社会機運からそういう基本的な知識をベースに,コーディネート能力だとか,ファシリテーション能力,プレゼンテーション能力を持っている,一定の能力を有しているという称号を持つ人物が会社の中にいて,その者が,今,私たちがやろうとしている自治体との協働,取組であるとか,学校における金融・保険教育をやるということが,信用力につながるのではないかという思いがあります。また,その信用力をある意味活用して,民間として貢献ができるのじゃないかというふうに考えた次第です。
 そういう意味では,必ずしも主事になりたいという者が講習を受けるというのではなくて,そういう主事になり得るベースを有した人材ですよという証明を持ちたいというところが正直なところでした。
 ですので,今回のこの答申の案にまとめていただいているように,間口を広げていくという方向には大賛成でございますし,生涯学習コーディネーター等の民間資格を持っていたら受講すべき科目の一部を免除しますよというやり方もいいと思いますし,もっと免除できるものはたくさんあると思います。例えば,民間企業で社会教育活動をしっかりやってきた実績みたいなところも考慮いただけるような仕組みというのも,方針としては入れていただきたいなと思います。また,申込みの手続でも,書類を取り寄せて,志望動機を書いてメールで送って,更に書類を郵送したりといった,かなり昔のやり方みたいなところも,オンライン化を促進するなど,できれば間口を広げるというところとセットで方針として示していただければなと思っています。
 話を元に戻しますけれども,そういう意味では,称号でも,資格でも,私たちのニーズは同じでして,どちらかといえば,社会教育士という者がこういう役割を担っているとか,若しくはこういう資質を有している者だという証明を世の中全般に広めていただくというところがニーズになると思っています。そういう意味では,資格でも称号でも一緒だと私は考えています。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。民間企業のお立場から,社会教育士を取りたいということは,社会教育主事の任用に足る研修を受けたり講習を受けたり,きっちりとそういう講習を受けていますよという証明がなされているということで社会教育士の称号を取るというような考え方に立っているのだということです。それが資格になろうがなるまいが余り関係はないということなのですけれども,現行の制度からいえば,社会教育主事になり得る,足る,きっちりと育成を受けているということです。そうしたことが社会教育士という称号で証明をされているという,そういう理解に立って取得に行っているということです。そういう意味では,そういうことがもっと社会に知られていくといったことが大事ではないかという御指摘だったと思います。
 さらに,ある意味では,申込みの問題点もいろいろありますので,またこれは講習の在り方についての議論に回したいと思います。どうもありがとうございます。
 では,古賀さん,お願いできますでしょうか。

【古賀委員】
 2階建てには大賛成で,なおかつ量的に拡大するという方向性についても是非にと思っているのですが,例えば,ベーシックコース,アドバンストコースみたいなものがあるとして,ここにも資料の7のところに書かれているのですが,行政に関する知識,例えば,社会教育施設ってどういうものがあるのかとか,指定管理者制度の根拠法となっている地方自治法がどういうものか,企業のCSRとかCSVとかというトレンドも含めて恐らくベーシックに知っておくべき事項がいろいろあると思っています。これは以前も申し上げたのですけれども,どうしても「量的な拡大」と「質の担保」はジレンマの関係にあるのかなと思っていまして,これだけは知っておきましょう内容については,やはり文科省である程度示された方が,そのようにイメージをしています。
 加えて,今回の幾つかの社会教育主事講習を実施されている機関のヒアリングを通じて,1点,不勉強ゆえにすごくびっくりしている点があります。それは全国一律的に同じような手法・メニューで実施されているかと思いきや,かなり千差万別で,オンラインの活用度もかなり違っていて,現場では創意工夫や独自性がある一方で,今後量的拡大をしていく中で,社会教育主事講習実施機関も増やしていくとなると,少し言葉が悪いのですけれども,非常にばらばらでまちまちで,質もばらばらになるのかなというふうに憂慮をしています。
 そういう点では,アドバンストコースはその地域の実情に応じていろいろアレンジしていただいていいのかなと思うのですが,ベーシックとなるところは,きっちり仕様をつくってやった方がいいのかなと思います。
 2階建てに賛成なのは,これは人間の心情だろうと思いますが,多分,社会教育士の称号を得た後に主事講習のカリキュラムも是非受けてみたいと思うようになる人もすくなくないと思っておりまして,その点,質を高めようという自助努力と自己研さんを生みやすくなるのかなとも思っています。そのマインドを形成して持続させていくという点でも,その辺の2階建て構想というのは適当と思っております。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。古賀さん,2階建てに賛成であると。それから,ベーシックコースとアドバンストコースに分けるという議論は,社会教育士というものと社会教育主事を分けた方がよいという御議論なのか。又は,現行の制度は,社会教育主事の講習を全員が受けていて,社会教育士の称号で活躍されている方も,主事の任用に足るだけの講習は受けていますという証明として称号が出ていることになっているのですが,それを変えた方がよいという御意見だと理解してよろしいでしょうか。

【古賀委員】
 現行の形でいいと思っていまして,しかしながら,推進機関によって内容がまちまちなので,ベーシックのところはある程度しっかりグリップされた方がいいのではという意見でした。

【牧野部会長】
 分かりました。ありがとうございます。
 では,黄地さん,お願いできますか。

【黄地地域学習推進課長】
 ベーシックな部分として,7ページの2行目のところで,先ほどコーディネートとかいろいろ述べてはいるのですけれども,この辺りがもう少し具体的に,ベーシックであればこそ,もう少しきちんと質の担保が共通して図られるようなという理解でよろしいですよね。
 その上で,あとは少し先ほどの繰り返しで大変恐縮なのですが,称号か資格かという点につきましては,制度上は,称号は御自身が名乗ることができるという意味なのですが,一方,資格は国あるいはそれに相当する機関が認めて授与するという違いはあるのですが,一方で,社会教育主事との関係で言えば,任用するためには社会教育主事講習あるいは養成課程を受けなければならないという意味においては講習等の修了は任用に向けての基礎資格でございますので,その辺りが少し混乱しないような書きぶりをうまく工夫できればなとは思ってございます。

【牧野部会長】
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では,山本さん,お願いできますでしょうか。

【山本委員】
 山本でございます。行政の首長の立場からすると,これ,すごい暴論になりますけれども,社会教育主事って必要ですかというぐらいの話だと思うのです。今実際にどのぐらい置かれているのか,直近のデータがあれば教えてほしいなと思っているのですが,置かなくても社会教育事業はできたりするし,逆に言ったら,僕ら首長とそれから教育委員会とのガバナンスの中での事務のやり取りの中で,結局,今までどういうことが起きていたのかというと,例えば,文化,スポーツみたいな教育委員会が専権的にやっていたのを首長部局が引き上げてきたりとか,あるいは,美術館,博物館みたいなもの,公民館も含めて,そういったものを結局やり取りする中で,じゃ,そんな面倒くさいことを言うんだったら首長部局でやりますよというのは,首長のやりたい方向性になる。どうしてもそういう方向性になると思うのですよ。それが果たして民主的な自治の中でいいのかというのは,これはもう少し議論しなきゃいけないなというふうには思っています。
 その意味で,例えば逆に,社会教育主事というのは置くということになっているけれども,いや,置かなくてもいいのだということであれば,じゃ,置かなくていいのではないの,じゃ,その資格必要ないのではないのということを首長サイドが言いかねないのですよ。それを例えば言わないような,あるいは,社会教育ってやはり地域コミュニティーにとって大事だよね,だからこういう資格を取りながら,主事というのも置くのだけれども,やはりその置き方とかを含めて考えてくことが必要だと思います。
 現状,北海道の部分でいうと,例えば,社会教育主事が道の教育委員会から派遣されてくるケースってそんなにないのですね。私どもみたいな小さな町だったら,本当に何年に1回来るかなぐらいの話なので,そういう意味でいうと,自前で養成した中で配置をしていくということはあるけれども,じゃ,逆に言ったら,いなかったらどうにもならないのかということでもないというのもあって,そんなに任用にこだわるということをそれほど僕らはしていないような多分気がするのですね。
 そういうことも含めて,小さな自治体とかが社会教育主事というのをどう捉えていくのか。逆に言ったら,社会教育主事というのを結局置かなくても,置かない市町村がいっぱいあるとすれば,じゃ,この講座自体が何なのだというふうな,それよりは,やはり裾野を広げるということをベースにしながら,先ほど言った2段階というやり方もあり得るのだろうなというふうには感じておりました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。首長さんとしての「暴論」だとおっしゃいましたが,一つだけ少し確認をさせていただきたいのは,社会教育主事は置かなくてもよいけれども,社会教育の活動であったり,社会教育のコーディネーターは必要だという議論でよろしいでしょうか。

【山本委員】
 おっしゃるとおりでして,やはりそれをどういうふうにやっていくのか。主事という資格も当然必要なのだけれども,しかし,それを例えばそれだけに拘泥することではないよねという気はしています。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。社会教育を活用したといいますか,今,北海道は特に公民館協会でしたか,その中に公民館振興首長部会というのがあって,特に社会教育や公民館の振興を通したまちづくりといったことを盛んに懸命に進められていらっしゃるということもあります。山本さんはそこの協会の会長なのですが,公民館協会の会長を首長さんがされているというようなことも珍しいと思うのですが,それくらいやはり重視をされているのですけれども,社会教育主事というものを教育委員会の中に置いて,行政との連携を取るという議論が,一般のいわゆる基礎自治体の特に小さな自治体で,ある意味では,そぐわなくなっているのではないか。ただ,現場においては,社会教育の活動であったり,コーディネーターの役割を担う方であったり,また,今回の社会教育士というような方々がいることがとてもある意味では大事になってきている。そういうことの中で,主事の在り方をやはりどう考えるのか。そんなことの提起だったと思いますけれども,いかがでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,伊藤さん,いかがでしょうか。お願いいたします。

【伊藤委員】
 質問なのですけれども,12ページの上から2行目のところ,PTA,子ども会などの社会教育活動の経験者については,一定期間以上従事した場合は,社会教育主事講習の受講が可能ということなのですけれども,これを受講する場合,その受講費は自己負担になるのか。それか,例えば,自治体の教育委員会の推薦で無料で受けられるのか。その辺のところをお願いいたします。

【牧野部会長】
 いかがでしょうか。受講資格に関してですけれども,事務局の方で御回答をお願いいたします。

【加藤地域学習推進課課長補佐】
 基本的に自分で申し込んでいただくことになるのですけれども,ここで申し上げたいことといたしましては,例えば,PTAとか子ども会等の活動って毎日週5回フルタイムでやっているわけではないので,その辺りの計算の仕方というのをもう少しお示しして,もう少し受けやすい,自分が資格があるかないかというのを分かりやすくできないかということを検討したいと考えております。

【伊藤委員】
 受ける場合の受講料というのは。

【小山地域学習推進課課長補佐】
 社会教育主事講習なのですけれども,資格付与を対象とした4科目受講するパターンと,一部科目として2科目受講するパターンがあり,資格費用の方は無償ですが,教材費とか宿泊費とかの実費を払う形になっています。一部科目の方は,各大学とか実施機関の実情に応じて決められており,例えば学則等に基づいて決められているところです。
 以上です。

【伊藤委員】
 ありがとうございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは,倉持さん,お願いできますでしょうか。

【倉持委員】
 御説明ありがとうございました。社会教育人材の必要性が非常に高まっていて,量を広げるというか,量を確保するという意味で,様々な主事講習の受講形態を増やすとか,様々履修方法を増やすということの御説明で,なるほどと思いました。
 先ほど選択肢を広げるというような話が,柔軟な履修方法による選択肢の拡大とか,受講者の選択肢の拡大というのがあって,確かに多様な選択肢があって,様々な講習の情報が提供されて受講できるというよさがあって,様々な目的や働き方等によって選べるというのはいいことだなと思う一方で,やはり社会教育ってローカリティーというか,地域コミュニティーに根差した独自性みたいなところがあったり,一緒に講習を受講することによってつくられるネットワークみたいなのもこの間の事例で伺ったところなので,その辺もちゃんと情報提供とかすべきなのじゃないかなというふうに思いました。
 公民館は市区町村にしかないというのは,社会教育は地域に目指しているというところの根本みたいなのを,分割受講や選択肢を増やすことによって失っては意味がないというふうに思ったというところが一つちょっと気になったところかなというふうに思います。
 と同時に,これまでヒアリングしてきたことで,実施機関が様々な工夫を凝らして,いろいろな受講形態をつくられていることは,翻ると,結構実施機関の工夫というか,努力というか,御負担が大きいということも語られてきたことの中で,こうして実施機関を増やしたり選択肢を広げるということのしわ寄せというか,現実的な方向でいうと,本当に広げられるのかなみたいな現実問題みたいな部分もあって,この部分も考えていかないといけないのではないか,実施機関を増やそうと思っても増やせない実情もたくさんあるのではないかというふうに思います。
 そのときに,私自身は,社会教育主事養成課程の話が2のウに出てくるのですけれども,養成課程と主事講習が少し別々のものとして語られてはいて,割と社会人というか,働いている方は主事講習,若い学生は養成課程というふうに整理されていると思うのですけれども,養成課程でも,通信課程とか科目等履修というのがありますし,リカレント教育やリスキリングということで言えば,社会人の学生たちもこれから大学等で学ぶ機会も増えてくると思いますので,養成課程の方も多様な受講の在り方というのは検討すべきかなというふうに思いますし,100校以上の養成課程が全国にありますから,主事講習の実施機関内の情報の共有やネットワークだけではなくて,養成課程と主事講習の実施機関との情報共有やネットワークというのも,互いの負担をすぐに軽減するというわけにはいかないと思うのですけれども,資源を共有したり情報を共有するということは価値があることなのではないかなというふうに思います。
 とともに,各地の自治体との連携や協働を講習実施機関や養成校が図ることで,例えば,私の卑近な例ですけれども,社会教育実習を受け入れていただいている職員や自治体の方に,実習をデザインしたり支援したりすることが非常に有効な研修になっているのだというふうなお話を頂いたり,ゲスト講師で講習や養成の授業に来ていただくことによって,自分の取組を振り返って,理論的に裏づけて説明をするということが研修になっているのだというお声も頂いたりしますので,そういった,先ほど養成,研修も大事だという話の文脈の中に,これも養成と研修を完全に切り分けて考えるというよりは,資源をうまく連動し合っていくということが必要なのではないかなというふうに思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。社会教育人材の養成の在り方を拡大していくということの中で,社会教育が持つ,ある種,ローカリティーといいますか,各地の特色といったことと受講枠を拡大をしていくといったことの関わりはどう考えるのか。
 この点で私の方から少し確認ですけれども,社会教育の施設ですとか,様々なものが市町村立になっていて,強いローカリティーを持っているということなのですが,それとこの養成課程が例えば拡大をしていくといったことで,ローカリティーが失われていくのではないかという懸念をお持ちなのか,それとも,いわゆる学ぶ人がローカリティーをベースにしながら自分で選択をしていけばよいので,そういうような戦略の在り方もあるのじゃないかということなのか,どちらの御発言だと理解すればよろしいでしょうか。

【倉持委員】
 ありがとうございます。最初,私はその懸念の方を少しイメージをしていました。もちろん社会教育に関する基礎的な知識や知見というのはどの地域にも共通するという側面がある一方で,やはりその地域ならではの仕組み,あるいは施設,あるいは資源とかということを知るということは,社会教育士,社会教育主事にとっては重要だと思ったので,その部分が失われるのじゃないかという懸念という意味で最初は話していたのですけれど,今,牧野さんのお話を伺って,そういった部分を守った上で選択するという考え方もあるのだというふうに思いましたし,先ほどの養成と研修ということで言えば,その部分を意識した,じゃ,もう少し自分の地域を学ばなくちゃいけないなとか,あるいは,全国から集まってくるような講習においては,ちゃんと自分たちの地域も調べるのだというような課題を出すとか,そういった意味の質保証というか,そういう確認みたいなことも,養成の中身を突っ込んで議論するときに,もう少し深めていくべき今後の検討課題だなというふうに思いました。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。では,3のところで少しまたお願いいたします。
 そして,二つ目として,広げるというのだけれども,今のこの状況で広げられるのだろうかというのは少し懸念があるというお話もありましたし,それから,もう少し言えば,研修ということも含めて,既にお話しになっていますけれども,例えば,実習を行うといった場合にお願いに行って,実習先と一緒になって実習をデザインするときに,相手方の職員の方々の研修にもなっているというような形での関わり方もあるので,様々なそういうチャネルを通して,研修というか,そうしたことも今後考えておく必要があるのではないか。そういう御指摘だったと思います。どうもありがとうございます。
 それでは,野津さん,すみません。お待たせしました。お願いいたします。

【野津委員】
 2回目ですみません。やはり今回のこの議論って,在野の社会教育を担う人を増やすというのが一番の目的ではないかと思うのです。最初に牧野さんがお触れになったこれからの高齢化社会と過疎化,あるいは人口減少,少子化,こういった社会の中での地域コミュニティーをどう守っていくのか。あるいは,生活そのものをどう支えていくのか。ここに社会教育が大きな役割を果たせる。
 現実にうちの県でいうと,何回も言いますけれど,20年ぐらい人口構造先に進んでいますけれども,社会教育が地域コミュニティーを守るために一生懸命頑張っていると。要は,地域リーダーをどう養成していくのか。その手法が社会教育なのだろうと思っていて,まさに今までそういった議論になっていたのだろうと思います。
 このペーパーにまとめたときに,社会教育主事を併せて一つの文章に両方突っ込むとやはり難しいので,社会教育主事,先ほど言いましたように,これは役人なので,大きな組織があり,人材があり,もともと社会教育主事講習を受ける前に,役人とか教員としてのベースがあって,それなりに仕事ができる。あるいは,教員の場合は教育者なので,民間の方と同じ研修を受ける。これでいいと思うのです。ただ,それで使い方というのは,やはりベースがある分だけスタートラインが違うのだろうというふうには思っていますけれども,そういう具合に少し議論を,社会教育主事の方は後回しでも僕は今回の議論,いいと思うのですよ。余り理想的なキャリアパスみたいな話は置いておいて,やはり在野の方をいかに増やすのかと。そのための講習の多様化,そういった議論を深めていく必要があるのじゃないかなと。
 塩田さん言われたように,企業の方でもそういうニーズがある。私,余りそちらの方面は専門でないので置いておきますけれども,やはりローカルとして,地域の集団そのものに必要だというところ,ここが今回の議論の存在価値ではないかなと思います。
 それと,北海道は,山本さんと僕,同じ行政でも全然立場が違うので,首長からある程度独立した教育委員会という組織でも,私も最終的にはお金と人事を首長に握られているので,最後は言うことを聞くのですけれど,うちの県って,500人の村でも社会教育主事2人います。全部います。なので,もちろん資格はなくてもいいのですけれど,いざ仕事をやるときに,やはりかっこいいではないですか。おじいさんおばあさんが聞くときに,ありがたがってくれるのですよ,肩書って。
 それと,あと,仕事として,教員なんかをやるときのモチベーションが違います。片方で指導主事としてやっている教育委員会の人間と,そうでない,教員給与表を適用したまま,事務局職員にしないと,給料が下がるので,そういったときに,やはり社会教育主事という名前が本人のモチベーションにもなります。
 先ほど資格か称号か,どちらでもよくて,名のれればどちらでもいいと僕は思っていまして,ちゃんとうそでない名前であればいいと思っています。だから,社会教育主事って,やはり大きな行政のバックアップがある仕事なので,少し今回の議論で後ろに引いておいても,無視するわけではないですけれど,引いておいてもいいと思いますし,もう1個言うと,社会教育主事が事務局から出ていくときは肩書がなくなりますので,そのとき2単位しか取っていない,新しい2単位を取っていないと,肩書がなくなってしまう。しかし,この人たちが一番,退職した後とか,あるいは学校現場に戻った後,地域連携を担っていくリーダーなので,社会教育主事ってやはりリーダーなのですよね。社会教育と地域のコミュニティーの中に入っていってもリーダーとして,自分が引っ張るのじゃなくて,そこのリーダーを見付けて,コミュニケーションを取らせたり,どういう話合いをしたら効果的に住民の話合いができるのだというようなことを指導するのが社会教育主事であったり,うちでいうと,社会教育士を研修するのも社会教育主事であります。
 そういう役割で,2階建てといえば2階建てかもしれませんけれど,すぐ1階に下りるので,なので,やはり役人の世界の話は少し置いておいてもいいのかなというふうに思います。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。今回の議論が,地域社会における担い手といいますか,専門職をどうたくさん育成をしていくのかといったことに少し議論をシフトしたらどうかと。社会教育主事とか社会教育士ということで,役割議論をし始めるので混乱するのではないかという御指摘だろうと思います。むしろ社会教育のきっちりとした養成を受けた人たちが地域社会にたくさん生まれてくるといったことの方が大事で,今後,日本社会のいわゆる社会基盤の在り方に関しても,社会教育はとても重視をされてきていて,そういうような形での養成をきっちりするといったことの方が大事ではないか。
 あとは,今お話がありましたけれども,称号があった方がいいとか,あとは資格があった方がよいと。確かにこれは現場で使う場合には必要なことですので,議論しなければいけませんけれども,全体の大枠としては,社会教育主事をどうするかとか,社会教育士をどうするかということよりは,むしろ社会教育の専門性を高めていく,そういう人材が地域にたくさんいるような状況をどうつくっていくのかというような形での議論をした方がよいのではないかという御指摘だと思います。どうもありがとうございます。
 それでは,青山さん,お願いできますでしょうか。

【青山副部会長】
 ここまで社会教育士と社会教育主事の役割,それぞれが違いがあるかどうかというところがありますけれども,様々な角度から議論できてよかったなと思っておりますけれども,1階と2階をある程度イメージしつつ,現状としては一体的に運用していくというような在り方が,今,皆さんの何となく落としどころなのかなと思って聞いておりました。
 ただ,今後の課題を考えたときに,別々の資格ではないというところが前提だと思いますけれども,二つ軸があるような気がしていて,一つは,社会教育士というか,地域での学びのオーガナイザーとして必要な部分がどこまでで,いわゆる2階部分に何が当てはまるのかという議論が恐らく必要で,この7ページにもその段落がありますけれども,どの部分を社会教育主事に特に必要な能力として想定しておくかということが一つ。
 それから,もう一つの軸として,地域性と共通性というところが出てきましたけれども,各地の創意工夫でやってよい部分と,むしろ地域性を超えて社会教育の基本的な理解としてスタンダードをつくっておく部分がどこかというところ,さらにもう一つ言えば,前回の改定に関わった立場としては,単位数を減らす中で,資格を取得した後に活動を続けながら学んでほしいことのリストというか, 3階というのか分かりませんけれども,そういった線引きを,今のままうまく運用していくにしても,カリキュラムの中でどういう力が必要かというようなマッピングを想定していきながら,運用を柔軟にしていくような在り方が現実的なのだろうというふうに思います。
 現状では,社会教育主事の養成課程を前提に社会教育士の称号を付与するという形のメリットもあるはずで,行政の必置の専門職を養成するための講習とすることで,例えば財源が確保しやすかったりですとか,そういった議論も恐らくあると思いますので,完全に別資格にするというのは現実的ではないような状況もあるのだと思います。そういった中で,養成されるべき資質・能力のマッピングを意識しながらやっていくのが,今後の課題になるなというふうに思って聞いていました。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。皆さんの議論をまとめてくださったような形になりますけれども,ある意味では,社会教育主事の養成課程,多様性の講習といったことがベースで,専門性をきっちりと担保できるような形で人材を育成していく。ただ,社会教育主事というのは,現行の法制上は任用資格で,任用されなければ主事というふうに言えないというような資格にもなっていますので,その意味では,きっちりと養成を受けているといったことが見える形で,社会教育士という称号を授与することになっています。
 それに関して,今回皆さんで議論をしていただいて,よりよい形になっていくように,そして,野津さんがおっしゃったように,現在の社会状況等も考えながら,社会教育の専門性を持った人材が地域社会にたくさんいるような形で社会教育の事業が展開できるような,そんな方向性を持ちながら,この人材の在り方を議論する,そういう必要があるのだろうということです。
 先ほどから何度も議論が戻りそうだという話をしていますけれども,書きぶりをしっかり変えていただいて,やはり社会教育主事の養成が基本であり,主事講習を受けたり,課程を終えた方々は,主事になる基本的な素養はちゃんと持っているのだといったことが担保されていますよと。それは譲れないところであって,ただ,発令されない方々が地域やいろいろな場所で活躍できるように,社会教育士という称号がついていますといったことはベースにした上で,どのような人材育成をしていくのかといったことを議論すべきではないかと思いますので,その辺り,お願いしたいと思います。
 それから,もう一つ,少し私の方から,時間も気になるのですが,一つ全体を通して気になりますのが,社会教育のいわゆる専門人材と,それから,次世代の育成とか学校教育についての関わりが余り深く書かれていないような印象を持っています。本来であれば,例えば,教職課程を取っている学生たちが社会教育士の称号を取ってもよいのではないかですとか,カリキュラム上は大変ですけれども,建前上言えば,そういうこともあってよいのではないかとも思いますし,さらには,例えば――山本さん,また手が挙がっていますけれども――地域のことを考えるときに,やはり地域社会と子供の在り方ですとか,次世代育成をどうするかといったことを議論しておかないと,自治体が成り立たないというところが出てきているわけですね。
 そんなことも含めて,社会教育主事の養成,社会教育士の養成といったことと,学校教育,また,次世代の育成といったことも少し議論を中に組み込めればと思いましたので,また御検討いただければと思います。
 そろそろ次に移りたいのですが,山本さん,では,最後に一言,まとめの話をお願いいたします。

【山本委員】
 先ほど野津さんに振っていただいた部分もありますので,私ども首長サイドからして,じゃ,何でこの社会教育なのだというときに,今までコミュニティーのお話とかいろいろやってみて,社会教育であったりとか,あるいは公民館が盛んな地域って,やはりコミュニティー活動がしっかりできていて,そのことで住民の皆さんの住み心地だったり満足度だったりが高いというのは,僕らも実感としてはそういうふうに思っているのですね。その意味で,やはり社会教育の裾野を広げるための資格というのをもっと広範にするべきなのじゃないかというのは僕は思っていて,野津さんの言っていること,僕は本当にそのとおりだなというふうに思って聞いておりました。
 主事としての資格は確かに必要だと思いますし,それはあるべきだとは思いますが,だからというよりは,それよりはやはり役場の職員とか,そういった者がもう少し社会教育に対する理解を深めて,あるいは,地域の人たちが社会教育に対する理解を深めてコミュニティーを形成していくということが大事なのではないかというふうに思っておりますし,首長サイドとして,僕らの勉強会や何かでも,やはりそういったことが分かっているからみんなで頑張ってやろうねということを意識しているということだと思います。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございました。先ほどの野津さんの議論と同じですけれども,社会教育に関する専門的な人材が地域社会にたくさんいて,そして,地域を自ら担っていくという住民をたくさん育成していく。その中で地域の自治がきっちりとなされていって,社会の持続可能性が高まっていくような,そういうようなつくり方といったことが必要になるのではないかという御指摘だと思います。どうもありがとうございました。
 では,二つ目のところにつきましての議論はここまででよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 そうしましたら,今度,最後のところ,三つ目になりますけれども,社会教育人材部会における今後の検討事項ということで,六つの検討事項が挙がっておりますけれども,これに関しまして御意見,御質問等ありましたら,お出しいただけますでしょうか。お願いいたします。
 では,野津さん,お願いいたします。

【野津委員】
 すみません,何度も。14ページの(1)のところなのですけれども,これ,話の中身ではなくて,文章のつくりなのですけれど,1段目が「前述のとおり期待されている」,2段落目が「また,勧めにくいとの声も聞かれる」,3段落目が「一方で,という意見もある」。これって,「また」があるのだけれど,1段落目と2段落目が並列で,その二つに対して3段落目が「一方で」って反転しているつくりなのでしょうかね。
 もしそうであると,「一方で」と来たところが,指定管理が一つ例があると,指定管理を出している方の,発注している立場からいうと,少し重過ぎる。指定管理に対して。首長さんも私も指定管理を出している立場なのですけれど,この全体の議論を受けるほど指定管理って一般的でないし,数もそんなに多くないし,一定の中身はそのとおりだと思うのですけれど,少し文章のつくりが少しどうかなという。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。この点は,事務局で後から御検討をお願いいたしたいと思います。
 次に,関さん,お願いできますでしょうか。

【関委員】
 関でございます。(2)番の社会教育人材のネットワーク化のことについてです。現在,試行としてこのネットワーク的な取組をされておられます。そのつながりに私も参加していますが,本当にいろいろな人達が今,社会教育士として活動していることを感じております。学校の事務職員の方であったり,あるいは図書館司書の方であったり,いろいろな人がこの中にいます。私どものような社会教育行政に関わってきた人だけではなく,全く新しい視点が,このネットワークが成長していくことによって,多分更に湧き起こってくることを期待しています。今は試行の段階ですが,今後本格的な運用に繋げていただき,4,500人の社会教育士,そして社会教育主事も含めて,それがまた更に広がっていくような取組に広げていただくようにしていただけたらありがたいなと思っております。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。このネットワーク化ですけれども,関さん,これ,私たちがこれから検討しなければなりませんので,お願いしますじゃなくて,やりましょうと言ってください。

【関委員】
 そうですね。全くその通りです。仲間の一員として,当事者として盛り上げていきます。私はまだ社会教育士にはなっていないですけれども,社会教育人として志を持って関わっていきたいと思います。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。
 では,古賀さん,お願いできますでしょうか。

【古賀委員】
 14ページの(1)の社会教育人材の活躍促進というところの最後から2行目のところに,「社会教育人材の活躍場面」という言葉があります。是非それこそ企業の方とかNPOの方で社会教育士になられている方も増えているということですので,ロールモデルとして,活躍の一場面のみならず,その人物の生きざまとか,どういう活躍をされていて,どのように役立っているかというところを御紹介いただけたらなと思っています。
 今,総務省が「地域おこし協力隊」のホームページを運営されていて,そちらもロールモデルを積極的に発信されるようになっていて,実際に地域の定着度も6割超えるぐらい,制度の当初よりは随分よくなっているということです。第三者的な方が見て,これだったら自分もやろうかなというふうにインセンティブになると思いますので,是非ロールモデルの普及というところも努めていただけたらなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。社会教育人材の活躍促進の場面で,ロールモデル等の発掘といいますか,そうしたことも必要ではないか。これ,大学がやってもいいかもしれませんね。青山さん,どうですか。

【青山副部会長】
 今,古賀さんのお話を聞いていて思っていたのは,文科省の社会教育士のサイトの中に,社会教育士×○○というサイトがずっとこの間更新されてきております。まさに今おっしゃったロールモデルを普及するための試みとしてやられているものかなというふうに思っていました。こうした取り組みはすごく重要だと思いますので,今後も続けていくことがすごく重要になると思いますし,大学で主事課程を担当している立場からしても,学生がなぜ社会教育主事の資格を取るのかというときに,やはりいろいろなロールモデルが不足しているという感覚はあります。いろいろな卒業生を呼んできたりとかしながら,資格の活用方法や,主事で任用されているわけではないけれども,社会教育に携わって生きていく生き方などをどのように伝えていくかは,大学の養成課程の側としてもすごく重要だなというふうに思いました。
 直接お答えできているか分かりませんが。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。
 では,塩田さん,お願いできますでしょうか。

【塩田委員】
 14ページのネットワーク化に関してなのですけれども,イメージとしては,社会教育主事や社会教育士同士のネットワークというところが見て取れるのですが,更に一般の地域の方も含めたネットワークづくりというものが必要なのではないかなと思っています。例えば,自治体のホームページや広報紙に,我がまちの社会教育主事にはこういう方がいますよ,どこに所属していますよというものを,もちろん本人の同意も取り付けた上で公表することで,地域の方々にも,自分たちの地域にそういう資質なり資格を持った人がいて,じゃ,少し頼ってみようかなみたいな話になることがネットワークづくりに直接役に立ってくるのじゃないかなと思います。是非そういう方向での議論をお願いしたいなと思っています。
 加えて,15ページの修了証書とは若干違うと思うのですけれども,例えば民間で社会教育人材が増えていった場合に,得意分野というものがやはりあると思うのですね。全てのことができるというのが社会教育士のいいところなのでしょうけれども,例えば,我々で言えば,「社会教育士(金融・保険教育)」とか,何か得意分野を明示できるような仕組みがあると,民間がこういった社会教育人材を輩出していったときに,更にその中でも能力発揮できる部分というのを明示していると,地域の役に立てるのじゃないかなと思っていますので,提案させていただきます。よろしくお願いします。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。一つはネットワーク化ですけれども,ここのところ,基本的には相互研修といいますか,相互研さんのような感覚で提示がされていますので,社会教育主事,社会教育士のネットワークになっていますけれども,もう少し一般の方々といいますか,また,自治体とも連携が取れるような,そういう形でのネットワークといったことも考えたらどうかと。それで,ある意味で一般の方々がどういうところで社会教育士が活躍をしているのかといったことが分かるような,そういうようなつくり方も検討できないかということです。
 それから,二つ目として修了証書ですけれども,ある意味,専門分野を生かせるような形での表記ですとか,又は証書の在り方を検討できないかという御指摘だと思います。どうもありがとうございます。
 そうしましたら,井上さん,お願いできますでしょうか。

【井上委員】
 井上でございます。三つのこれからの検討事項の中で,活躍促進という出口に関する記述は書いてあるのですけれども,社会教育士を取得するという入り口の動機づけの検討も必要であると思います。
 社会教育士をどのような方が取ってもらえるのかなということで,3つの場面を考えたのですけれど,一つは,必ず取ってくださいということが言える方々です。これは,社会教育主事の発令予定者がそうですよね。あとは,社会教育指導員については,採用するときに資格要件に入れてもらうとか,あとは,指定管理者の採択における要項の中に社会教育士の有資格者を入れてもらうとか,必ず投げかけによっては入れてもらえる方々です。
 二つ目は,取ってもらえば,必ずこれはよかったという効果が出るもの。例えば,地域学校協働活動推進員や,地域連携教員,地域連携担当教員などは,エビデンスを示しながら取得を投げかけていくと,取ってもらいやすくなるのではないかと思います。
 あと,三つ目として最後は,取得してもすぐに成果が現れるかどうか分からないけれど,取得すると以降の活動が充実する方々です。これは,学校管理職であったりとか,地域活動実践者であったりとか,企業の地域貢献担当の方などに対しては,様々な広報機会を通して動機付けにつなげていくことが必要かと思います。これらの場面を想定して,対象に応じて投げかける方法を工夫していくといったような,入り口の動機づけの議論も必要なのかなと感じました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。特に社会教育主事,また,社会教育士を取りたいと思えるような入り口の議論,そんなこともこれから必要ではないかということだと思います。ありがとうございます。
 では,大村さん,お願いできますでしょうか。

【大村委員】
 お願いします。2番目の議論とも少し重なるのですけれども,ネットワーク化ということを考えるときに,やはり養成課程,ないしは講習におけるネットワークと,それが地域にネットワークとして育っていくという,そういった筋道を考えるべきだというふうに思っているのですね。今回の2番目のところで,弾力化というか,取りやすくしていく,講習を受けやすくしていくというアイデアがたくさん含まれていますけれども,それがともすれば,講習での,そこでの関わりの薄さをもたらしてしまうおそれもあるかなというふうに思っているのですね。
 私たちが講習で目指す一つは,やはり講習の中が学習コミュニティーが成立していくということを目指すわけですね。その中で関係性をつくり,学び合っていくということを実感しながら,その関係性が,地域に戻ったときに,自分たちもそこで再生産,関係性を生み出していくことになるし,講習で感じ取った学習コミュニティーをもう一度自分でもつくっていくということになっていくと思うので,是非,選択肢という問題もあるので,一方では取りやすい選択肢があり,しかし,一方では,そうしたコミュニティーをじっくりつくっていくような,そういった講習,養成課程があるという,そういうことができれば一番有り難いのかもしれないですね。しかし,やはり養成課程ないしは講習の中でそういったネットワークづくりということを体験していただいて,それを地域に移していくという,そうした流れを是非大事にしてほしいということが一つです。
 それから,二つ目に,ネットワーク化というときに,他分野の方とのネットワークをやはり考えていかざるを得ないと思うのです。まちづくりであるとか,あるいはここの中に書かれている防災だとか,様々な分野がございますよね。ですから,社会教育人材のネットワークというだけではなくて,社会教育人材がそういった地域づくりのネットワークの中でどういう役割を果たすのかということがやはり大事かなというふうに思っているのです。
 そのときに一つやはり考えておかなければいけないのは,例えば,地域づくりの人材養成でも,非常に熱心にやられているわけですよね。そうした地域づくりの人材養成と,社会教育の人材養成と,それが何か代替可能というふうになってしまうと,社会教育人材って要らないじゃないかということにやはりなってしまうと。社会教育主事も要らないし,あるいは社会教育委員も要らないじゃないかということになってしまうので,代替ができない社会教育人材の持ち味というか強みは何だということを,もう少し議論をしていきたいなというふうに思っているのですね。
 私としては,それはもちろん地域,環境,社会をつくっていくということが一方でありつつも,一方では,一人一人の人間の育ちというものをきちんと見詰めて,そこを支援できる。個としての育ちといいますか,への支援と,それから,総合的な関係性をつくっていくことと,そして,地域,環境,社会をつくっていくということがつながって把握できて,それを進めることができるというのが,社会教育の人材の持ち味ではないかというふうに思っているのですけれども,そうした代替不可能な社会教育人材というものを是非押し出していただけるといいかなというふうに思っています。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。特にネットワーク化に関しての議論ですけれども,一つは講習の中でつくられていくネットワークと,自由に入れるネットワークとの関わりをどう考えるのかといったことですね。それから,もう一つが,社会教育の人材の中身ということなのですけれども,いわゆる一般行政の方の様々な地域づくりの議論に解消できないような専門性といいますか,特色といったものをどう考えていくのか,そのことも必要ではないかということだと思います。
 実はこれ,過去の中教審,生涯学習分科会の議論の中でも出ていまして,例えば,社会教育を通した人づくり,つながりづくり,地域づくりというふうに出てきたときに,例えば,各省庁がやっている様々なコミュニティー施策でも人づくりをやっていますし,つながりづくりもやっていますし,地域づくりに結び付けているのですね。その意味で,社会教育がなければならないとは一体どういうことなのかといったことを当然考えなければいけない。
 そのときに,やはり一つ指摘しておかなければならないのは,先ほど申しましたけれども,次世代の育成をどうするのか。地域の持続可能性と次の世代を育成するといったこと,そして,地域の方々が自主的に地域を担うような力を付けていくというのはどういうことなのか。そんなことをきっちりと議論をする中で,社会教育そのものが社会基盤として位置づけられるということで,11期の生涯学習分科会の議論でも出てきましたし,それから,今回の教育振興基本計画の中にも,そのように似た文言が入っていることになるかと思います。その意味でそれを更にもう少し人材論としてどうするのか,そんなことを次のこの部会での議論にも反映できればと思います。ありがとうございました。
 それでは,原さん,お願いできますでしょうか。お願いいたします。

【原委員】
 原です。二つございます。一つは,15ページの(5)の社会教育主事の配置促進のところの1行目で,これも言葉なのですけれども,最適化を図る体制をつくるというのがございます。これは前の2の方にももっと詳しく出てはいるのですけれども,最適化,その前後を読んでみても,何の最適化というのがいま一つはっきりしなかったかなというような印象がありまして,少し書き込んでいただけることが可能であればということが1点目です。
 それから,二つ目は,先ほど倉持さんからもありましたけれども,講習の引き受け手が増えるかどうかということなのですけれども,これまでも大村さんの愛知教育大の事例だとか,あるいは島根大学さんの事例などをお聞きすると,講習の実施主体が大変厳しい状況の中で実務をやっているのではないかなというのも感じております。そういう意味でいうと,講習の引き受け手や実施する機関の心理的なハードルを下げて引き受けられるような,実施できるような,何かそういうことを考えていった方がよいのではないかと思っているのが二つ目です。
 以上です。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。一つは文言,これも事務局の方で御検討ください。
 それから,二つ目として,学習機会の在り方,また,講習の在り方ですけれども,少し引き受け手が広がっていくような,ハードルを下げるような議論も一つ必要ではないか,そんな御指摘だったと思います。ありがとうございます。
 それでは,倉持さん,お願いできますでしょうか。

【倉持委員】
 ありがとうございます。手短に。まず,2番目の社会教育人材のネットワーク化については,皆さんからいろいろ御意見があったとおり,先ほど私の発言にもありましたけれども,社会教育士の称号取得者だけではなく,社会教育主事,それから社会教育養成課程担当者,主事講習実施機関等も合わさった上で,5番の「継続的な学習機会の確保」というところと大きく連動すると思うのですけれども,ネットワークを研修ということとつなげるということもそうですし,あとは,先ほど言った広くいろいろな方と情報交換するということと,その地域の中でのネットワークということと,両面今後検討していかなきゃいけないのじゃないかというふうに思うので,重要だなと思うということが一つ。
 それから,1番の「社会教育人材の活躍促進」や4番の「修了証書の在り方」と関わって,社会教育士の社会的認知だとか社会的評価というのを広げるというのも使命の一つかなというふうに思うのですけれども,(1)の最後の方にヒアリングというふうに書いてあるのですけれども,社会教育士を採用する際に,称号を取得していることを何かプライオリティーを持って採用してくれるところがあるとか,あるいは,そういう企業さんなのだけれど,行政ではないのだけれども,社会教育士という称号を持っていることを一定程度評価しようとしているという,受入れ側というのでしょうか,あるいは,社会教育士の修了証書を持っているということで,何か積極的に明記する,そういうことを促進しているような団体や企業,民間とか,あるいは,行政の計画の中に社会教育士のことについて何か取り入れているとか,そういうところのお話も少し伺ってみたいなというふうに思ったので,(1)や(4)の中に入れば,今後の検討課題の中で取り入れていただきたいなと思いました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。ネットワークに関しましては,先ほど研修等と結び付けられないかという議論もありましたし,さらには様々な形で,特に行政ですとか民間企業ですとか,社会教育士の活躍を考えているというか,そういうような情報も盛り込みながら,ヒアリング等も含めて,広く社会的に認知を広げるような取組が必要ではないかということだと思います。どうもありがとうございました。
 次に,山本さん,お願いできますでしょうか。

【山本委員】
 私からは1点,社会教育主事の配置促進の関係でございますけれども,今,やはり自治体全体のガバナンスの中でいうと,教育委員会と首長部局との関係の中で,教育委員会のいろいろなものを様々首長部局に移すケースだったり,あるいは先ほど野津さんが言ったように,指定管理みたいなものが出てくると,極端に言うと,じゃ,逆に教育委員会は学校教育だけやっていて,社会教育はやらなくていいのではぐらいの暴論が出るぐらいの話になると思うのですよね。
 だけれど,そうではないのだということをもう少しやはり言わなきゃいけないということと,逆に言ったら,社会教育主事だって別に教育委員会に置かなきゃいけないのか,いや,首長部局に置いてもいいような形をしてくれるんだったら,それはそれでもいいのになと。要するに,地域のコーディネーターとして活躍するような人材として必要なのだと首長サイドが思えるようなことをしないと,これ,またどんどんどんどん剥がされていくような議論になっていくような形になるなというふうに思っています。
 民主的に地域自治をやっていくためには,やはり教育委員会にあった方がいいというふうに僕は思いますけれども,そういった中で,もっと社会教育の分野からはみ出るようなことも含めて社会教育主事の必要性みたいなものを考えていくということもあり得るのじゃないかということは少し思っています。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。今日は「暴論」が続きますけれども,社会教育主事の配置の仕方といいますか,今の教育委員会に置かなくてもいいではないかという議論は,少し法的な問題とも関わってくるので要検討ですけれども,検討はできればというふうに思いますので,よろしくお願いいたします。
 最後に,伊藤さん,いかがでしょうか。御発言がありませんけれども。ごめんなさい。志々田さんも挙がっていますね。では,志々田さん,お願いします。

【国立教育政策研究所(志々田)】
 すみません。遅れまして失礼しました。手短に。資格とか,それから,修了証ということを発行していくという意味では,生涯学習の時代ですので,更新制とまでは言いませんけれども,継続教育を重ねていることがプラスに働くような,例えば,社会教育士プラス,過去5年間にどれぐらいの講習を受けていたのかというので,例えばグレード1とかグレード2とか,それはデジタルバッジを使えば可能になると思うので,是非取ったら終了みたいな形ではない資格というふうなことを構想することがこれからの時代には必要じゃないかなと思って,発言させてもらいました。
 以上です。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。資格ですとか称号も取っておしまいではなくて,やはり学び続けるということを基本に,まさに学んだことをきっちりと評価できるような仕組みにすべきだという議論だと思います。どうもありがとうございます。
 それでは,伊藤さん,よろしければお願いいたします。

【伊藤委員】
 感想になりますけれども,山本さんがおっしゃっていた,首長サイドで必要性を感じてもらうことが必要だということと,倉持さんがおっしゃっていた,社会的認知を広げることが必要というところに納得しています。そのために,志々田さんからありましたデジタル,そちらの方でという,取った後のフォローというところでも,なるほどな,進めてほしいなと思いました。

【牧野部会長】
 どうもありがとうございます。では,その方向でということでよろしくお願いいたします。
 それでは,よろしいでしょうか。少し時間が延長しておりますけれども,すみません,座長権限で5分ほど延長させていただきますけれども,ここまで御議論いただきまして,どうもありがとうございました。
 今後の扱いですけれども,今日,皆さんに御議論いただきました「中間的まとめ案」ですが,本部会における審議の一定の成果として,来月に開催される予定の生涯学習分科会で報告をいたします。こちらの生涯学習分科会での報告に向けましては,本日皆さんに議論していただきました「中間的まとめ案」への意見を踏まえて,事務局とも相談しながら,必要な修正を行いたいと思います。修正内容については,申し訳ありませんが,部会長一任でお願いしたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【牧野部会長】
 ありがとうございます。それでは,部会長の責任で生涯学習分科会に報告をさせていただきたいと思います。
 そしてまた,分科会の方でも様々な議論になるかと思いますので,そちらでの指摘につきましては,また次回のこちらの部会,分科会の議論,又は分科会での御指摘をこちらの次回の社会教育人材部会でも御報告をし,共有したいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,少し延長になりましたけれども,今日の議論,審議はここまでとさせていただきたいと思います。また,引き続き御発言できなかった部分ですとか御意見等ありましたら,事務局までメール等で御連絡をいただければと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,最後に議事を事務局にお返しをしますので,御連絡等お願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】
 事務局でございます。資料の2を御覧ください。今後の審議予定(案)をお示ししております。次回は97日木曜日,14時から16時での開催を予定しております。
 事務局からは以上でございます。

【牧野部会長】
 ありがとうございます。次回は,97日,14時から16時です。残念ながら,暑い日中になりますけれども,よろしくお願いをいたします。
 それでは,本日の社会教育人材部会はこれにて閉会したいと思います。長い間の御議論,どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

総合教育政策局生涯学習推進課

電話番号:03-5253-4111(内線2972)
メールアドレス:syo-bun@mext.go.jp
 

総合教育政策局地域学習推進課

電話番号:03-5253-4111(内線2977)
メールアドレス:chisui@mext.go.jp

発信元サイトへ